露出不足の写真を部分的に明るくする


部分的に明るさを補正したデジカメ写真の例(北海道神宮にて) 露出不足の一部分だけを明るく修正したい場合ってよくあります。この写真もストロボを強制発光させなければならなかったところを、そのままのオートで撮影してしまったものです。今回は画像の中の一部分だけを明るく修整する方法について解説します。
露出不足の写真の修正に関しては、「露出不足の暗い部分を明るく修正する」や「逆光での撮影で失敗したデジカメ写真を修整する」でも解説していますので参考にしてください。

暗く写った被写体だけを暗室ツールで覆い焼きする

領域選択で明るくしたい部分を選択する 明るくしたい部分を領域選択します。[あいまい選択]ツール(隣接(色)領域の選択)をクリックして、オプションメニューにて図ように設定します。[境界線をぼかす]の[半径]は画像に合わせて適宜設定してください。「類似色を見つける」の[しきい値]は対象とする部分が、くまなく選択できるように設定します。過選択や未選択部分がたくさんできるようだったら、別の領域選択の方法をとります。画像の領域選択の方法は「GIMPで画像を切り抜く(その1〜5)」で解説していますので参考にしてください。

暗室ツールで明るさを補正する [暗室]ツール(暗室ストローク描画)をクリックしてオプションメニューの「モード」で[ハイライト]を選択します。ブラシの半径は大きめにして周りを少しぼかすように[強度]下げると自然な感じになります。明るくしたい部分の中心にマウスポインタを当てて何度かクリックします。1クリックあたりの明るくなる幅が大き過ぎるようだったら、[露出]の数値を下げてクリックします。またブラシは新規作成するか、適当なブラシを選択して[ブラシエディタ]を表示させて、[半径]や[強度]を調整して自然な感じに明るくなるように設定してください。ブラシにかんしては「ブラシの基本操作について」で解説していますので参考にしてください。

明るさを補正した拡大画像 処理した後の拡大画像です。普通のデジカメで一般的な設定で撮影して保存したものですから、拡大するとあまりきれいな画像ではありませんね。暗く写っている部分を無理やり明るく修正していますからなおさらです。周りの境界付近の白いふちは、領域選択するときの[境界をぼかす]の[半径]の設定に影響されます。ゼロにしないわけは、ギザギザとした白や黒の境界線が目立つのを防いで、周囲とのなじみをよくするためです。あまりにも白くめだつようでしたら、[半径]小さくしたり、場合によっては補正が終ってから目立つ部分をスタンプツールで消しても良いでしょう。スタンプツールの使い方は「スタンプの基本操作について」で解説していますので参考にしてください。
概ねこれでOKの場合もありますが、別の画像を貼り付けたような違和感を感じるときはもう少し加工します。下の「さらにもう一歩」を参考にしてください。

暗室ツール以外の明るさを補正するツール

暗室ツール以外の明るさ補正ツール [暗室]ツール以外にも[絵筆]ツールなどの塗りのツールを使って、明るくすることができます。[モード]を[オーバーレイ]か[弱い光]にして描画色を白にすることで似たような効果が得られます。描画色を他の色にして明るく補正することができます。例えば右図の欄外に示したように赤い色で明るくすることができます。

さらにもう一歩

コントラストを上げて違和感をなくした例 さてこのように明るく修整すると、修正する度合いにもよりますが髪の毛やその他の元々黒く写っていた部分も明るくなってしまいます。この写真はコントラストが強いので余計不自然な印象になってしまうため、図の右側のように修正します。

クイックマスクで不必要な部分を除外する 必要な部分のみコントラストを強めるため、この写真の場合は足元の影の部分をクイックマスクを使って領域選択から外していきます。ブラシを大きくして塗るために、画像範囲の外側に絵筆を置けるように表示を小さくして作業するとやりやすいです。

  1. クイックマスクを有効にして、
  2. 絵筆ツールをクリックしたら、
  3. 描画色を黒にしてコントラストを強めたくない部分を塗りつぶします。

クイックマスクに関しては、「GIMPで画像を切り抜く(その5)」でもその使い方について解説していますので参考にしてください。

領域選択した被写体のコントラストを上げる クイックマスクの処理が済んだら、[クイックマスクの切り替え]ボタンをクリックして選択状態にもどします。[道具]タブをクリックして表示されるメニューから[色ツール]の[明るさ−コントラスト]をクリックします。[明るさ−コントラスト]ウィンドウで[コントラスト]のスライダーの右に動かして、調子を見ながらコントラストを上げます。
これで出来上がりです。これを出力した画像が冒頭の写真の右側です。変化がはっきりわかるように明るめに補正しましたが、もう少し控えめなくらいが良いかもしれませんね。