渓流の写真を長時間露光風に加工する


渓流の写真を長時間露光風に加工した例 滝の写真を滝らしく修正する」でも少し触れた「長時間露光」、1秒以上シャッターを開けて撮影する方法をそう呼びます。花火や街の夜景の撮影では、数秒から数十秒露光させることによって点の光源を線状に写すことで華やかさや賑やかさを演出するのに使われます。渓流などの水の流れは、普段肉眼では目にすることのない、絹糸のような非現実的な水の質感を楽しむことができます。

 水の撮影、ことに屋外での撮影はプロでさえも難儀すると聞いています。まして普通のコンパクトデジカメでは、日中に長時間露光などできないこともあります。そこで今回は、お気軽に撮ってきた渓流の写真をGIMPを使って擬似的に長時間露光風に加工してみます。この写真は前回に使った賀老の滝近くの沢の写真です。旅行関係のパンフレットや観光土産の絵葉書に載っているような写真になります。

にじみツールを使って水面に長時間露光効果を与える

スタンプツールで水の泡を増やす 元画像は水が白く泡だっている部分が少ないので、[スタンプ]ツールを使ってもう少し水面を白く泡立たせます。まず[背景]レイヤーを複製してそのレイヤーで作業します。[スタンプ]ツールをクリックしたら、オプションメニューの「位置揃え」で[揃えない]を選択します。またブラシは半径を調節して、周りとのなじみを良くするために[強度]を下げ気味にします。白い泡以外の、特に岩や岸辺の部分の画像ソースをピックアップしないように、ピックアップしている場所に+のマークが出るのでそれを見ながら丁寧に塗ります。岩の部分に塗ってしまっても構いません。

白泡が多いほど渓流の力強さを表現できる 右図くらいに白泡をスタンプすると良いでしょう。多少不自然な感じに見えても大丈夫です。
スタンプツールに関しては「スタンプの基本操作について」で、
ブラシに関しては「ブラシの基本操作について」で解説していますので参考にしてください。

にじみツールでS字を書くようにドラッグする 次に[にじみ]ツール(画像にじみ)で渓流の部分を長時間露光したようににじませます。このときブラシを扁平ぎみにして、多少強度を下げて図の赤矢印のようにS字を書くような感じでドラッグすると良いでしょう。あまりブラシの半径を大きくすると味気なくなってしまうので、少し小さめにして、丁寧に何度もグネグネドラッグします。このときオプションメニューの[割合]は最大にせずに様子を見ながら適宜変化させてください。基本は上流から下流へドラッグしますが、場所によっては逆でも良いと思います。弧を描くような動かし方も効果的です。

大胆に処理するとさらに力強い渓流を表現できる こんな感じに大胆に処理すると流れに力強さがつきます。注意すべき点は、ドラッグを始めるとき必ず水の部分から始めます。水以外の部分からドラッグするとその色が水に滲み出てしまうので気をつけましょう。

はみ出た部分を消しゴムツールで消す 一通りにじみ作業が済んだら、はみ出した部分を[消しゴム]ツール(消しゴムで背景色や透明に戻す)で消します。このときレイヤーの不透明度を50以下に下げて、消す目安となる岩の部分が良く見えるようにして消すと良いでしょう。また水に接する部分は強度を最低まで下げてくっきりした境界線ならないようにすると自然な仕上がりになります。

 にじみツールを使ったことで、水の泡立ちの白さが弱くなってしまったときは、[暗室]ツール(暗室ストローク描画)で部分的に覆い焼きをしてあげると良いでしょう。そのときのオプションメニューは、「種類」は[覆い焼き]を、「モード」は[ハイライト]を選択します。[不透明度]を下げ気味にして、ストロークで塗らずにクリックして少しずつ処理すると良いでしょう。ブラシの半径はざっくりと大きめで。
[暗室]ツールは「露出不足の写真を部分的に明るくする」でも使っていますので参考にしてください。