パスの基本操作について

 パスとは経路とか軌道という意味ですが、点と点を通る経路つまり「線」という意味とし解釈できます。ラインと違うのは点が線をコントロールしている点にあります。

端点を置いて直線で線を引く GIMPフォトレタッチだけで使う分にはあまりパス(線を引く)を使用することはありませんが、画像の中から正確に形を切り抜きたい場合や、ロゴを作成する場合にはパスの出番となります。パスは点と点を結ぶ線によって描画されます。その点を「端点」(別名アンカーポイント)と呼び、そこから延びる腕のようなものを「ハンドル」と呼びます。
GIMPはラスターグラフィックツール(ペイントツール)として進化してきたため、ここで解説するベクター線の使い勝手は、現バージョンではあまり良いとはいえません。今後さらに進化していくことが望まれます。しかし基本的な機能は備わっているので、その気になればかなり本格的な作業もこなせます。

直線を引く

端点を置いて直線で線を引く 線を引くときはオプションメニューの「編集モード」で[デザイン]を選択してください。また[ダイアログ]タブをクリックして表示されるメニューから[パス]をクリックして「パス」ウィンドウを表示させると良いでしょう。パスを整理するのに便利です。
直線は単にクリックするだけです。右図は赤丸の部分の3箇所でクリックして線を引いてみました。

直線から曲線にする

端点を制御して曲線に変更する 上で引いた直線を曲線にするには、オプションの「編集モード」で[編集]を選択して端点を任意の方向へドラッグすると左右別々に曲線にすることができます。「編集」モードが[デザイン]の状態のままでも[Ctrl]キーを押しながらドラッグすると同様の操作ができます。また[Shift]キーを押しながらドラッグすると左右同時に曲線にすることができます。最初から[Shift]キーを押していると端点が削除されてしまいますので、マウスダウンしてから[Shift]キーを押してマウスを移動します。

曲線を引く

曲線を引く 曲線を引いていくには端点を置く場所でドラッグすると、端点からハンドルが延びて曲線として描画できます。ドラッグする距離や方向によって曲線を変化させられます。

曲線から直線にする

曲線を直線に変更する 「編集」モードで[編集]を選択して[Shift]キーを押しながらハンドルをクリックするとハンドルを左右それぞれ削除することができます。端点をクリックすると端点を削除することができます。「編集」モードがデザインのときでも、[Ctrl]と[Shift]キーを同時に押しながらクリックすることで同様の動作をします。

線を変形する

線上にマウスポインタを置いた図 線上にマウスポインタがくると十字の先端が矢印のマークに変わります。この状態のとき変形が可能です。

端点にハンドルを生成して変形する

線上にマウスポインタを置いた図 「編集モード」が[デザイン]のときは線をドラッグすると両サイドの端点にハンドルが生成されて曲線に変形することができます。すでに生成されている場合はそれに応じて曲線を変形することができます。

線上に端点を追加して変形する

線上にマウスポインタを置いた図 「編集モード」が[デザイン]のときは線をドラッグすると、その部分に端点が生成されて線を変形させることができます。曲線で変形させたくない場合は、「編集モード」の[多角形]にチェックを入れることで、両端の端点の同時に移動をさせることができます。また[編集]を選択して線をクリックすると端点を生成し角をつくることができます。

線を閉じる(パスを閉じる)

線を閉じる方法 線を閉じたい場合は[Ctrl]キーを押しながら始点でクリックします。マウスポインタを置くと「∩」のマークが表示されていれば閉じることが可能です。お気づきだとおもいますが、[Ctrl]キーを押すと、オプションメニューの「編集」モードの選択位置が[編集]以外にあるとき[編集]に切り替わることがわかります(赤枠)。同様に[Alt]キーを押すと[移動]が選択されます。

閉じた端点はひとつになる 閉じた部分の端点は一つになり他の端点と同じ制御が可能になります。

線を切る(パスを切断する)

線を切る方法 パスを効率よく切断するツールはありません。図の様に「編集」モードで[編集]を選択して、[Shift]キーを押しながら線上にマウスポインタを乗せると「−」(マイナス)マークが表示されます。

端点間の線を削除する クリックすると端点と端点の間の線が削除されます。

隙間をつくらずにきれいに切断する

パスを複製してそれぞれの端点を削除する 隙間をつくらずに切るには、切断場所に端点をひとつ作り、右図のようにパスを複製して切断箇所までのそれぞれの端点を削除します。

多角形を描く

多角形を描く方法 曲線を排除して直線のみの構成で線を引きたい場合は、「編集」モードの[多角形]にチェックを入れます。端点の操作は同様にできますが、[多角形]にチェックた入っているときは[編集]が選択されていても、端点を曲線に変更することはできません。

「パス」ウィンドウの操作

パスウィンドウで新規バスの作成 [新規パス]ボタンをクリックして任意の名前を付けて新規パスを作成できます。ちょうど「レイヤー」ウィンドウの操作と同じです。

指定のバスに線を引く方法 名前をつけたパスに線を引こうとしても[名前なし#1]のように新規にパスが作成されてそこに描画されてしまうことがあります。そんな場合は描きたいバス、例えばこの場合は[path1]をダブルクリックしてから描くとそのパスに描画することができます。他に制御が移ってしまった場合は自動で新規に作られてしまうようです。

同一のパスに複数の線を作成する

同一パスに複数線を描く方法 閉じられていない線の場合、描いた線の端点が黒くなれば(確定すれば?)、別の線を引くことができます。黒くするには[Shift]キーを押しながら白の端点をクリックすると黒くなります。また閉じた線であれば次に別の線を引けます。

パスから選択領域を作成する

パスから選択領域を作成する 作成した線から選択領域を作成するには、オプションメニューの[パスから選択領域を作成する]ボタンをクリックするか「パス」ウィンドウの[パスを選択領域へ]ボタンをクリックします。

選択領域からパスを作成する

選択領域からパスを作成する方法 選択領域からパスを生成することができます。[あいまい選択]ツールなどで選択した領域からも作成することができます。

円の領域選択をパスに変換した図 ただし円(楕円含む)の場合は端点がランダムな位置に配置されるため、変形して加工するには不向きです。

実際の線を引く(ストローク描画)

絵筆ツールでストローク描画した例 パスで作成される線は、jpgファイルなどに保存するときには線として描画されません。あくまでも線の情報を保持するもので、線そのものではありません。線を描くにはパスで作成した線からストローク描画をします。

 描画するにはパスのオプションメニューまたは「パス」ウィンドウで[パスをストローク描画]ボタンをクリックします。ストローク描画される線は実線のほかにパターンや描画ツール(絵筆や鉛筆やエアブラシなど)を使うことができます。「パスをストローク描画」ウィンドウで描画するストロークの種類を選ぶことができます。