GIMPで画像を切り抜く(その3)


あいまい選択ツールでは切り取れないチューリップの花の例 切り抜きしたい写真は、その1その2でやったように都合よく背景を抜くことができる写真ばかりとは限りません。同じ色調の被写体が複数重なって写っていたり、背景が同系色またはそれに近かったりすると[あいまい選択]ツールではキレイに切り抜くことは出来ません。ここでは手作業で地道に切り抜く方法を解説します。地道といってもこのチューリップの花でしたらそれ程手間はかかりません。
このページとあわせて「その4」と「その5」でご紹介します。

慣れれば簡単で正確な、手作業による画像の切り抜き

 手作業での領域選択ツールは手書き風な[自由選択]ツール(手書きで領域選択)の他に境界線を引く方法は2つあります。手書きよりも正確に、しかも操作し易いので、場合によったら[あいまい選択]ツール(隣接(色)領域の選択)よりもきれいにしかも正確に切り抜くことが出来ます。

[電脳はさみ]を使う

 [電脳はさみ]ツールは切り抜きたいモノと背景の境界線上をクリックしていくことで、クリックした点と点の間を形状通りに境界線を引いてくれるツールです。最初は大雑把にクリックして対象物を囲い、間違って引かれた線は後から修正できるので、マウス操作を苦手とする人でも割と簡単に操作できると思います。

電脳はさみツールを使う(GIMP2.2) [電脳はさみ]ツールは右図のハサミのアイコン(画像からの形状選択)をクリックするか、開いた画像のウィンドウで[道具]タブで表示されるメニューの[選択ツール]→[電脳はさみ]をクリックします。

電脳はさみの使い方…被写体の境界をクリックする(GIMP2.2) 花びらの先端部分を切り抜く例を解説します。まず、マウスポインタを花びらとその背景の境界線上に置いてクリックします。

3点をクリックして切り抜いてみる例(GIMP2.2) アンカーポイント(という正式な名称かどうかわかりませんが、とりあえずここではこの名前を使います)を置いていくときに、マウスポインタの右側には+マークが表示されます。

最後は始点をクリックする(GIMP2.2) 線を閉じる時は始点に戻ってクリックします。マウスポインタの右側が先ほどの+マークでなく、+の先端に矢印がついたようなマークとなっていることがわかります。その場所でクリックします。線が閉じられないと領域を選択することができません。

線の内側をクリックして選択領域に変換する(GIMP2.2) 線を閉じたら、囲った線の中をクリックすると図のように選択状態になります。この部分が切り取れる範囲となります。

境界線がうまく引けなかったときの修正方法(GIMP2.2) ざっくりと線を引くと、どうしても正確に線が引けてない部分が生じる場合があります。こんなときは線上にアンカーポイントを新たに追加して、正しい位置に修正します。図のように、線上であればマウスポインタ横に+マークが出ます。ただし上のように一度選択状態にしてしまうと、このような変更可能な線に戻せませんので注意してください。

アンカーポイントを新たに加えてドラッグして移動する(GIMP2.2) 操作はいたって簡単でアンカーポイントをドラッグして、切り抜きたい境界線までアンカーポイントを移動するだけです。マウスボタンから手を離すと境界線を認識して図のようになります。もちろん他の既に配置してあるアンカーポイントも移動できます。

被写体を切り抜いてみる(GIMP2.2) ではここで一度切り抜いてみましょう。花びらを選択しているので[選択]タブで[反転]をクリックしてから切り取ります。境界線がかなりデコボコ、ギザギザしているのがわかります。実際に使用するときの画像の縮小率が大きければ気にならなくなりますが、そうでないときは品質的に好ましくはありません。原因はデジカメ撮影時にピントが合っているかどうかやノイズの多少によって境界線の質が変化します。余談ですが、普段から大きなサイズで撮影していると、こんな時リカバリーし易いのでデジカメのメモリー容量の許す限り大きなサイズで保存することをお勧めします。

境界をぼかして他の画像とあわせたときなじみやすくする(GIMP2.2) 他の画像とのなじみを良くするために、オプションで「境界をぼかす」を使います。「境界をぼかす」にチェックを入れ[半径]の数値を適当に変化させながら、何度か切り抜いて確認してください。画像の大きさや必要とされるクオリティにもよりますが、最初の値は5〜30の間で試してみると良いでしょう。この画像は10.3で処理したものです。切り抜く形の複雑なものは、切り抜いてからのやり直しは時間も勿体ないので、予めこのように簡単な断片でクオリティを把握しておくと良いでしょう。

実際に被写体を切り抜いた画像 このようにして切り抜いたのが右の画像となります。(サイズは約36%に縮小しています)
この程度の切抜きでしたら、マウス操作が苦手な人でも多少慣れてくれば数分でできてしまいます。是非チャレンジしてみてください。