コンパクトデジカメで綺麗に撮るには
前回書いたデジカメ上達術では、どちらかというと技術的なことではなくマインド的な記述がメインでしたが、ここでは少し技術的な部分にも触れてみようと思います。対象はコンパクトデジカメですが、マニュアル撮影できる上級機種やデジタル一眼レフにも共通することだと思います。
- きれいでない写真とは
- 1)ピントが合っていない …その対処方法
- 2)手ブレが生じている …その対処方法
- 3)色があせて見える …その対処方法
- 4)色調が悪い …その対処方法
- 5)邪魔な人や物が写っている …その対処方法
- 6)ノイズが入っている …その対処方法
- 女性をきれいに撮る方法
- きれいに撮れなかった、失敗した写真を復活する方法
きれいでない写真とは
綺麗に写真を撮るにはキレイでない状態や状況を知らなければなりません。『そんなことは当たり前だ』と思うかもしれませんが、実際にカメラを構えるとその場にあるキレイでない要素や原因を意識していない(できずらい)ものなのです。なぜなら、わたしたち素人や初心者はカメラの気持ちになって撮像素子に投影される像を想像することがむずかしいからです。では、きれいに撮れていないと感じるのはどんなときでしょうか?その要素となるものをピックアップしてみます。
- ピントが合っていない
- 手ブレが生じている
- 色があせて見える
- 色調が悪い
- 邪魔な物が写っている
- ノイズが入っている
概ねこの6つではないでしょうか。当然ことですよね。どんな状況の撮影でもこの当たり前のキレイでない要素を取り除く工夫をしないと綺麗には写らないのです。なにも考えなくて綺麗に撮れた場合は、たまたま綺麗に撮れない要素が無かったか少なかったに過ぎません。それでは綺麗でない要素を取り除く対処法などを考えてみたいと思います。
1)ピントが合っていない …その対処方法
オートフォーカスはフレーム中央部の通常10%前後の面積で、ピントが合っているかどうかを検出します。モニターに表示される中央部の[ ]のような部分がそれです。ここに映っている被写体のコントラストが低い場合にピンぼけが生じることが多いようです。
特に花をマクロ撮影するときにこの失敗をすることが多いように感じます。花びらが均一な色の場合は花の形や光の加減で花自体にコントラストがなくピンぼけを起こしてしまうのです。
そんなときは被写体と同じ距離にあるコントラストの強い場所、たとえば花びらの端とか、陰影のはっきりしている部分で、撮影ボタンを軽く押してフォーカスを合わせます。そして指を離さずそのまま元の構図に戻して撮影します。このように撮影ボタンをシャッターが切れない程度に半押しして、フォーカス(ピント)をあわせた状態のことをフォーカスロックといいます。この写真の場合だとAではピンぼけを起こしやすいのでBの位置でフォーカスロックして、構図を整えてからシャッターを切ります。
中央部コントラスト検出方式に加えて各メーカー独自のフォーカス機構を備えていて、中央部以外でもピントを合わせてくれる機能もあります。機種に応じて自分に最適な設定で撮影するとグンときれいな写真が撮れるようになります。
2)手ブレが生じている …その対処方法
手ブレが起きる原因は大きく分けてふたつあります。一つ目は暗いところででの撮影です。暗い場所ではどうしてもシャッター速度が遅くなりがちです。手ぶれモードをONにしたり、ISO感度を上げて撮影することで手ブレを抑えることができます。
オート設定にしている場合は、勝手にストロボが発光するデジカメが多いので、ストロボ光の届く範囲内であれば問題ないですが、夜景を撮る場合などは手ぶれモードやISO感度アップの他に、三脚を使うことをお奨めします。
二つ目は望遠撮影での手ブレです。望遠になればなるほど手ブレによる影響は大きくなります。これも手ぶれモードやISO感の設定と三脚によってカバーできます。
コンパクトデジカメには一脚がベストマッチ
画質をきれいに撮りたい場合は、手ぶれモードやISO感度アップにたよらず、三脚を使うべきでしょう。『コンパクトデジカメで三脚なんてちょっと大袈裟』『かさばって持ち歩くのには抵抗がある』という方には一脚があります。字の如く一本の脚しかないので自立はしないのですが、これがあるのとないのでは手ブレに大きな差が出ます。アルミ製の一脚が殆どですが、登山用の軽くて丈夫なステッキに、カメラの取り付け台座がついたものもあります。
一脚を購入するときには雲台の付いているものか、付いていなければ雲台も同時に購入することをお奨めします。雲台とはカメラの角度を自由に変えられるようにする調整機能がついた固定台のことで、カメラを縦位置にして撮る時や、足元が不安定で真下に脚をつけられないような場所で重宝します。
また一脚は三脚にはない独自の使い方があります。図のように脚を短くして、お腹のベルトのあたりにグッと押し付けるようにして撮影する方法です。両手と一脚の三点で保持されるので、手持ち撮影よりはるかに手ブレに強く、自分の足を軸として自由に身動きがとれるので動きのあるものを撮影するときに適しています。運動会の徒競走や動物や乗り物の流し撮りにも使えます。
3)色があせて見える …その対処方法
肉眼で感じたほど鮮やかな色になっていない場合があります。撮った写真の空の色が白っぽくぼんやりしていたり、木々の葉の緑の鮮やさがいまひとつだったり、そんなことって多々あるものです。とくに屋外で撮影した写真に多いのは、空からの光が物体表面で乱反射することにより、物体本来の色がその光でコーティングされているような状態になるからです。
これを避けるには偏光フィルターを使うことで改善するのですが、コンパクトデジカメはこれを取り付けられない機種が殆どです。レンズの前にフィルターを手でかざして撮影するしか方法がありません。しかし、ひと手間かけることで鮮やかでクリアな写真がとれるので、いつも持ち歩いていると重宝することがあります。
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もうひとつISO感度上げて撮影したとき、色あせして写ります。ノイズも混じるので、古くなった写真のような印象を受けるかもしれません。少しでも鮮やかに撮りたいのであれば、ISO感度を下げて撮る必要があります。オート設定になっている場合は、ISO感度設定を64〜200の間で固定にして撮るといいでしょう。ISO感度を落として撮影すると、シャッタースピードが遅くなるので、三脚や一脚を使って手ブレしないようにしましょう。
4)色調が悪い …その対処方法
肌の色がくすんでいるような色調で写っている場合があります。蛍光灯の下などで撮影すると、ホワイトバランスがオートになっていたとしても、なんとなく冷たい感じに写ることがあります。ホワイトバランスのモードに蛍光灯というモードがいくつかあったら、より暖色系になるモードで撮影してみましょう。
また逆にホワイトバランスがオートになっていることで、例えばキャンプの焚き火でのシーンなどは味気なくなってしまうことがあります。そんなときはホワイトバランスを昼光モードにして撮ると、赤味の強い色調になり火の暖かみを強調することが出来ます。
5)邪魔な人や物が写っている …その対処方法
人の大勢いる場所で家族を撮る場合、周りに居る人が写ってしまうのは仕方のないことです。こんなときはズーム機能の広角域を使って背景を小さく写すか、望遠で被写体の背後をぼかす方法が考えられます。しかし多くのコンパクトデジカメのズーム機能では、画角がそれほど大きくとれないために効果を出せなかったり、また場所によっては望遠で背後をぼかすこともままならないことがります。
こんなときは少ししゃがんで、上半身から上を撮るようにして斜め上を向けて撮ることで、少しでも背景の邪魔な人や物を排除するとスッキリした写真になります。それから、カメラを縦にして撮ると効果的なことがあります。
また邪魔な人物を排除するという目的ならば、少しシャッタースピードが長くなるような設定、つまりISO感度を低くして、長時間露光で背後の動いている人をぼかしてしまう方法もあります。ただしこのとき被写体になる人にはじっとしてもらうようにしないといけません。1秒間くらいのシャッタースピードで撮れば、動いている人物はそうとうぼやけて写ります。昼間の屋外ではNDフィルターという光量を減衰させるフィルターが必要になります。もし偏光フィルターをお持ちであればシャッタースピードをおよそ4倍遅くできるので、場合にもよりますが朝夕の時間帯ならこの方法が可能になります。撮影時三脚が必須となります。広角で撮るなら一脚でもかろうじて大丈夫かも。
6)ノイズが入っている …その対処方法
ノイズはISO感度の高域ほど顕著に現れます。ISO感度を下げて、三脚や一脚を使って撮ることをお勧めします。また特殊なケースですが、高電圧を扱う施設の近くや電磁波の強い場所では、ノイズが入ることがあります。回避方法はありませんので、そういった場所から遠ざかって撮影するしかありません。山頂付近などによくある送信所の周辺は要注意です。
女性をきれいに撮る方法
きれいな人はもっと美しく、そうでない人はそれなりに美しく…。というフジフィルムのCMがありました。しかし現実は、きれいな人はそれなりに美しく撮れても、そうではい人もそれなりに美しくはなかなか撮れないものです。
レフ板や多灯ストロボを使わない限りコンスタントにそれなりに美しくは撮れないと思っています。特にコンパクトデジカメだけの撮影では至難の業といってもいいでしょう。
女性を美しく撮影するコツは何でしょうか?それはその逆を考えると答えが導きやすくなります。肌のくすみやたるみ、シミ、シワ、ニキビ、吹き出物、デコボコ(目のくぼみなど)が綺麗でない要素となります。
つまり、ツルンとした均一な色調で撮れるようにすれば良いのです。そのためにちょっとだけ気を使うと多少なりともきれいに撮れるようになるのでは?
そのためには一点の強い光の下での撮影は避けるべきでしょう。太陽光が直接顔に当たったり、蛍光灯や白熱灯が1灯だけの部屋の中などです。これらの場所ではシワやデコボコが強調されてしまいます。とくに晴れた日の屋外で順光での撮影は、まぶしくて目を細めたり険しい表情になりがちです。そうなると何歳も老けたような顔立ちに写ってしまい、苦情殺到です!!
屋外であれば逆光でストロボを発光させるといいでしょう。空からの拡散光が顔全体を満遍なく照らしてくれて、そこにストロボで光を補うので比較的きれいに撮れるのです。女性の服装はなるべく濃い目の色合いのほうが、自動露出の場合は顔が白めに写るので有利です。
その都度設定をするのが面倒な場合は常時ストロボを点灯させる設定にしておいて、すこし露出オーバー気味に撮るといいでしょう。最近のコンパクトデジカメにはほとんど露出補正機能がついているので、プラス側(明るく撮れる側)へ0.3〜1.0の範囲で補正すると、顔が白っぽくなるので効果的です。オートブラケット機能といって、自動で露出を変えて連写する機能をもったカメラがあります。撮影後ベストな一枚をチョイスするにはもってこいの機能ですのでお試しあれ。
きれいに撮れなかった、失敗した写真を復活する方法
撮影してきた写真をパソコンで開いたとき、失敗していたり、きれいに写っていなかったりしてガッカリすることがあります。『あんなに綺麗だったのに、写真に撮るとやっぱりこんなものかぁ』ってよくあります。自分の心の中には撮影時の記憶があるので、その写真に写っている情景からはそのときの美しさや感動を甦らせることができるかもしれません。
でも、第三者がそれを見たとき、色あせたように写っている写真や露出不足で暗くなってしまった画像からは、あなたの感じた美しさや感動はほとんど伝えることはできません。
せっかく人に見せる写真であるのなら、少しでもそのときの情景を写真に定着し直してみてはいかがでしょうか。そのためのツールがあります。フリーソフトのGIMPはフォトレタッチソフトとして有名なPhotoshopに勝るとも劣らない性能と機能を持っています。グラフィックソフトはちょっと苦手?と思う方も少なくありませんが、なにせタダで利用できるのですからインストールしてじっくりゆっくりマスターするのも悪くはないでしょう。
「みんなのIT活用術」の特集記事ではそんな失敗した写真や、『もうちょっとうまく撮れていれば』という写真をGIMPを使って修整して、人に見せても恥ずかしくない写真に仕上げる方法を解説します。ブログやホームページを飾るロゴやバナーの作成方法も今後予定しています。是非ぜひパソコンのフォルダーの隅で忘れかけられたデジカメ写真をGIMPで復活してください。
目次ページはこちらから → GIMP2.2で画像修正&作画にチャレンジ