普通のデジカメで3Dパノラマを作成する(その2)


関連リンク:普通のデジカメで3Dパノラマを作成する(その1)
Huginで作成した全方位画像 今回はHuginを使って右図のようなアスペクト比2:1のEquirectangular(正距円筒)投影による全方位画像を作成し、ビューアー(PanoSphere_V11)を使って3Dパノラマ画像がちゃんと貼り合わされているかを確認します。
ここで使用している元画像をご希望の方はメールを下さればお送りいたします。800×600ピクセルの画像57枚をZIPでまとめて約8メガバイトあります。

Huginで全方位画像を作成する

 全方位画像とは左右前後上下の全ての角度で撮影した写真を、一枚の平面の画像に貼り合わせたものです。今までHuginで作ったパノラマ写真は、一部の方向を撮影した写真を貼り合わせたものでした。Huginで実際に全方向の写真を合成させると、上の画像のように一枚の写真として見るには違和感のあるものになってしまいます。この全方位画像は専用のビューアーで見ることでパノラマ写真として成立することになります。

画像を読み込んでプレビューさせる

Huginでの画像の読み込み Huginを起動して画像を読み込みます。余計な操作はしないというコンセプトで解説しますので、ここでは「Assistant」タブの[1.Load images...]ボタンをクリックして、表示された「画像を追加」画面から読み込ませます。

Huginの処理過程 画像を読み込み終えると一気にプレビューまでプロセスが走ります。
余談ですがちょっと重要なお話…、画像のサイズが大きかったり枚数が多いほど処理時間が長くなります。Core Duo 2GHzのCPUを登載したノートPCの場合ではプレビューするまで5〜6分かかりました。普段静かなノートパソコンも、CPUの稼動率100%が何分か連続するとCPUの温度が上昇して聴き慣れないファンの音でビックリするかもしれません。パソコンの熱を逃がす部分に本や布類などの排気を邪魔する物があると、熱がこもって最悪の場合は致命的な損傷に至ることがあります。パソコンがヒンヒンしはじめたら排熱に注意を払いましょう。高温は損傷に至らずともHDDやその他のデバイスの寿命を短くする原因にもなります。
またメモリーが足りないと、一枚の画像サイズがある程度大きくなると大量のスワップが発生して処理時間が数倍〜数十倍に長くなります。枚数の多い処理では1ギガバイトのメモリーは欲しいところです。最低でも512メガバイトは必須です。今回のように800×600程度なら256メガでもなんとかイケるでしょう。一方、一枚2000ピクセルを超えるような画像を扱う場合は、他の処理も考えると2ギガバイトは必要になります。メモリーが安価になって2ギガバイトが標準で登載されているパソコンも珍しくなく、大画像の3Dパノラマの作成もだれもが経験できる時代になったといえそうですね。古い型の低スペックのパソコンをお使いの方はご注意くださいませ。

Huginのプレビュー表示 処理が無事終了すればこのように表示されます。丁度メルカトル図法のように上下の端にいくにつれて像が引き伸ばされた画像が表示されます。

全方位画像を出力する

全方位画像を出力する さぁ、あとは画像ファイルを出力するだけです。[3.Create panorama..]ボタンをクリックします。枚数が多いのでここでも少々時間がかかります。

画像の出力に失敗したら

出力に失敗すると… 枚数の多い処理では、時としてエラーメッセージを出さずに失敗する場合があるようです。エクスプローラで出力ファイルを見るとファイルサイズが1キロバイトになっています。もちろん画像編集ソフトで開くことはできません。ログファイルが残らないのでなぜ失敗したか皆目見当がつきませんが、次のようなことをすると正常に出力するようです。

出力に失敗したときの対処方法 「スティッチング」タブを開いて、「パノラマのサイズ」の[最適なサイズを計算]ボタンをクリックしてサイズを再計算させます。再計算するとほとんどのケースでサイズが大きくなるようです。サイズの算出に問題があって出力に失敗したのでしょうか??
再計算したらボタンの右上にある[スティッチングの実行]ボタンをクリックしてもう一度出力処理をします。コントロールポイントが正常に付けられず途中で終了する場合を除き、私のケースでは大概これで正常に出力するようになります。
無事出力できたら、パノラマビューワーで表示させて貼り合わせにミスや不自然な部分がないかチェックします。

PanoSphereで3Dパノラマ画像を確認する

 PanoSphereはパソコンにインストールして使用する3Dパノラマビューアーソフトです。

PanoSphereのダウンロード

パノラマビューアーPanoSphereについて Ryubin's Flash Panoramaのサイトにアクセスして、ページの下方にあるリンク「High-resolution Spherical Panorama Photo Viewer...」をクリックします。表示されたPanoSphereご案内ページのメニュー「ダウンロード」をクリックしてダウンロードページを表示させ、図のように「ダウンロード」と書かれたリンクからダウンロードします。インストールや使い方に関してはそれぞれ「導入方法」「使用方法」に詳細に解説されています。

画像の確認

PanoSphereで出力した画像を確認する インストールが終了したら、出力した全方位画像を早速表示させてみます。あ、その前にHuginのデフォルトの出力ファイル形式はTIFですので、Gimpなどを使ってJPGに変換する必要がありますのでお忘れなく。
PanoSphereの[Open]タブをクリックして、出力した全方位画像ファイルを開きます。Sphereモードで開くので、そのままマウスをつかってグリグリと左右上下に動かして、貼り合わせに不自然な箇所がないかチェックします。特に上下端付近はこのようなビューアーを使わないと実際にちゃんと貼り合わされているか確認できないので念入りに見ておきましょう。カーソルが十字矢印のとき右クリックでワイド、左クリックでズームアップします。左右上下の回転はマウスをドラッグします。詳しくはhttp://ryubin.com/panosphere11/で。
ズームアップして見ると、微妙につながりのきれいでない部分もありますが、今回はこのレベルということで…

モードを変えて遊んでみる

BipolarモードRingモードGlobeモード
 [モード]タブでSphere以外のモードにしてグリグリ回したりして遊んでみるとトテモ楽しいです(^^)とくにBipolarモードでは歪曲させた平面の画像を見ているはずなのに、妙な立体感を感じてしまいます。これらはRyubin氏の作品であるウェブ公開用のFlashビューアーでも同様に表示させることができます。次回はウェブでの3Dパノラマの公開について解説したいと思います。

最後に

 PanoSphereは起動すると、回転やズームなどの操作をしない状態(アイドル状態)でもCPUを使うようです。デュアルコアプロセッサでは常に50%、シングルプロセッサの場合は100%近い使用率です。Huginの画像処理と同様に、ことにノートパソコンの場合はCPUの温度上昇に伴う排熱に気をつけましょう。