デジカメで上手に写真を撮るコツ

んなシーンでも被写体を画面の中心に入れてしまう人がいます。写真の役割である被写体を記録するという目的でしたら概ねそれでいいのですが、人に見せたり、ブログに載せる場合はすこし工夫してみましょう。とくに旅行写真ではワンパターンになりがちです。おおっと思わせる写真や、うまいねと誉められる写真が、誰でも簡単に撮れるようになる方法をご紹介します。


プロと素人の違い

真を見るとき、プロや愛好家でない限り、良い写真かそうでない写真かを考えながら見る人は居ないと思います。ところで良い写真の条件とはなんでしょうか。最低限の条件としては、被写体にピントがあっている、被写体の明るさが白く飛び過ぎていたり暗くなり過ぎていない、構図が適切である、の三つです。しかしそれだけでは人を感動させたり共感を得られる良い写真にはなりません。

ット上のニュース記事に掲載されているいろいろな写真は、殆どはプロカメラマンが撮影したものです。選挙活動で遊説する政治家の写真や、事故・災害の写真といった報道ならではの写真のほかに、春には桜や菜の花の写真、梅雨にはアジサイの写真、猛暑が続いたときは水浴びをする子供の写真、冬は雪が降り積もる写真…等など、私たちも普段撮っているモチーフもニュース画像として目に入ることがあります。ではプロと私たち素人の撮影時の大きな違いはなんでしょうか?

プロは常にテーマを意識している

こでは『猛暑』を写真で表現する場合を考えてみよう思います。『猛暑』はものとして存在するものではありませんので猛暑を連想させる沢山の事柄のなかから次のような場面をピックアップします。

  1. 丸の内のオフィスビルに囲まれた日中の交差点で、直射日光に照らされたサラリーマンが険しい顔で汗を拭っている。
  2. 動物園のシロクマが氷に抱きついて頬ずりしている。
  3. 雲一つない青空の下、砂浜で海水浴や甲羅干しをしている。

くありふれたニュース映像に感じるかもしれませんが、プロだからといって、現地に行ってすぐに撮ってこれるものではありません。

は、大勢のサラリーマンが横断する交差点で、直射日光の角度や、オフィスビルから反射する太陽光線の強さなどの条件を考慮し、その条件が整う時間帯に、暑そうな表情をするサラリーマンを逐一観察していなければなりません。色白のほっそりした人ではだめですから、それなりの人がレンズに入ってくれないと絵にならないのです。実際に暑いわけですから、撮る側もそれ相応の忍耐力が要求されるはずです。

は、まずシロクマの居る動物園に氷が与えられる時間を問い合わせなければなりません。その時間に撮影に行ったとしても、シロクマがお尻を向けてばかりで、なかなかいいポーズをとってくれないかもしれません。動く被写体を前にここぞと言う場面では連写をし続けることでしょう。

は、天候に大きく左右されるので、何日も前から気象情報とにらめっこをして、快晴になる日を見定めてから取材日を決めるのです。いざ現場に着いても、もし海水が冷たければ、泳いでいる人が少なくてかえって寒々しい風景になってしまいます。甲羅干しをしている絵になる海水浴客を探さなければなりません。シミだらけの背中でも困るし、全然焼けていない白い肌でもだめです。炎天下の砂浜の取材はきっと辛いことでしょうね

うして目的やテーマをもって撮られた写真は、誰にでもわかってもらえる写真、つまり伝えたいことが伝えられる写真になるのではないでしょうか。われわれ素人が撮った写真はともすると、説明する文章があってはじめて理解できる写真になってしまいがちなのです。私たちもテーマを意識してカメラを構えると、一歩上達への道が開かれるはずです。

テーマに沿った写真を撮るためには

の1から3の共通する点は、『強調』することではないでしょうか。

は、真夏のビル街はアスファルトやビルの照り返しで、猛烈に暑くなることを誰もが知っています。そこに険しい顔をしてサラリーマンが汗を拭っている。しかも赤信号で大勢のサラリーマンやOLが立ち並んでいるシチュエーションは暑いというイメージを増幅させてくれます。

は、北極圏に住んでいるシロクマとはいえ、氷が好きなわけではありません。そんなシロクマも氷に頬ずりしてして涼をとる。つまり暑さによって動物が普段滅多にやらないような仕草をしたことが、暑いことをより強調してくれます。

は、快晴の青空と真上から降り注ぐ強い太陽光の下で、こんがり焼けた肌に汗が滲んでいる様子は、見るものに皮膚感覚で夏の暑さをよみがえらせてくれます。

強調とはいらないものを省くこと

ーマの中心になる被写体を大きく撮ること、強調するにはこれが最も基本的な姿勢かもしれませんが、さらに一歩進んで、いらないものを省くことが大切だという事も気付かされます。

は、フレームの端にオープンカフェで涼しそうにアイスコーヒーを飲んでいる人が写っていてはダメです。汗を拭うサラリーマンの隣りに、涼しげな着物を着た女性が立っていたらテーマの趣旨に合いません。脱いだスーツを片手に、ネクタイを緩めたサラリーマンや、顔に当たる日差しを手やハンカチで遮るOLさえ写っていればいいのです。

は、シロクマのいる展示場所は、北極をイメージして白い壁をデコボコさせて氷を模していますから、そういったものは画面に入らないようにするでしょう。味気ないコンクリートの壁や鉄柵など動物園とわかるものならOKです。要はシロクマがうっとりしている表情と、頬ずりしている氷だけフレームに入っていればいいのです。背景に大勢の来園客の姿が入っていても良いかもしれませんね。

は、ビキニ女性の全身がフレームに入っていると、違った意味をもってしまいます。あくまでも焼けた肌とサンオイルの照りが入っていれば充分なはずです。水着がずれて水着跡がついているといいかも。また背景の青い空に雲があったらできるだけ避けてカメラの角度を変えて撮るでしょう。地引網をしている様子が写ってしまうのはもちろんマズイでしょうね。

いらないものを省くコツ

うしてもいらないものがフレームに入ってしまうことがあります。そのときはズームアップして背景をぼかしてしまう方法があります。またはワイドにして背景の邪魔なものを小さくしてしまう方法もあります。*1

まりズーム機能を被写体を拡大して撮影するという目的だけに使うのではなく、近づいてワイドで撮ったり、遠のいてズームアップして撮ることで、被写体の周りにあるものを省いたり、弱めたりすることに利用できるのです。

ズーム機能を使いこなそう

えば、公園で遊ぶ幼い子供と母親をモチーフに、手前に子供を、背後数メートルのところに母親という構図で写真を撮ることにします。一枚目は少し離れたところからズームアップで子供にピントを合わせて撮ったものとします。二枚目は子供に近づいて、ワイドで撮った写真を考えてみましょう。どちらも子供は同じ大きさ(画面を占める面積が同程度)で写っているとします。

ームアップで手前の子供にピントがあっているために、背後はレンズの特性を生かしてボカシがきいたりフレームアウトして母親はその表情までわかりませんが、大きく写ります。後者は母親が小さく写りますが、レンズの特性ではっきり写り表情もわかる写真となります。

子ともに、これといった表情がなかった場合、前者は母親に見守られながら真剣に遊んでいる印象を受けますが、後者は母と子の間に距離を感じ、両者とも無表情なので子供が孤立している印象を受け寂しい感じがします。

ころが、子供が泣きべそをかいて母親が笑っていたらどうでしょか。(冒頭の図)前者は、あきらかに母親に叱られたのだと想像します。さらに母親の表情がはっきりわからないので、互いに近接して見えるにも関わらず、子供と母親との間に精神的距離感が感じられます。

して後者の写真は、母親が帰宅を促しているのに、子供はまだ公園で遊んでいたくて、だだをこねて甘えているのではないかという想像もできるでしょう。また母親の笑顔が子供に対するいとおしさとして感じられます。物理的な距離感を視覚的に感じているにもかかわらず、精神的な繋がりを強く感じることができるでしょう。

のように撮影者が後に引いてズームアップ撮影すると、見ている者の想いが子供に集中します。逆に近寄ってワイドで撮影すると、母と子の関係性を詳細に印象付けることが出来ます。同じシーンでもその撮り方次第で、全く違った印象をうける写真にすることができるのです。

まりズーム機能は自分の意図を強調させることにも使えますし、使い方を間違えれば、意図が伝わらない写真になってしまうこともあるのです。

プロと素人はもう一つココが違う

プロはテーマをもって撮影すると書きましたが、もうひとつ大きな違いがあります。

カメラは誰が使っても同じ写真が撮れる!

たり前の話ですが、逆にそうでなければ困ります。撮影ボタンを押す指の力や、カメラを持つ手の握力で、描写される画像が変わる事はありません。*2 同じ被写体、同じ明るさ、同じ構図、同じタイミング、同じ設定で撮ればプロも素人も撮れる写真になんら違いはありません。誰が使っても同じ写真が撮れるように作られているのです。

プロドライバーに見るプロさ加減

ーシングドライバーとサンデードライバーを例にしてみましょう。全く同じ性能の市販オートマチック車で、最新のトラクションコントロール機能*3のある車に乗るものとします。この車で直線のコースで競争したらどうでしょう。プロと素人の差は出ないはずです。

かし、山間部のワインディングロード(曲がりくねった道)を走ったらどうでしょうか。ダントツの速さでプロドライバーが先にゴールします。同じ時間内であれば、プロはサンデードライバーの何倍も長い距離を走っていることでしょう。

インディングロードを走るときプロドライバーは何をしているのでしょうか。一つ一つのコーナーを最速で走り抜けるために、目と脳と手と足(腰)をフルに使って、素早く的確な判断を下しながらブレーキ、アクセル、ハンドルを駆使しているのです。そのときドライバーは目の前に現れるコーナーだけを見ていません。山の斜面や木で隠れて見えないその先の道路状況を想像し、頭の中で組み立てながら走っているのです。

してハンドルを回す手の力が強いとか、ブレーキを踏む足の力が強いから速く走れるわけではありません。パワステのおかげで女性でもハンドルはクルクル軽く回せますし、ブレーキは少し踏み込んだだけで最短の距離で止まれる性能を持っているのですから。

プロが枚数を多く撮るわけ

をカメラに戻しましょう。私たち素人は、高価なカメラを使えば写真をうまく撮れると思いがちです。しかしプロカメラマンはどんなカメラを使っても、うまい写真を撮るものです。プロカメラマンは被写体に当たる光、ピント、構図、シャッターチャンスや被写界深度等など、諸々の撮影条件を的確に判断しながら枚数を多く撮るものです。しかもその判断の質や水準が高くそして速いのです。

ロドライバーが速い速度でいくつものコーナーを駆け抜けるのと同じように、プロカメラマンは被写体と対峙した時、最高の一枚を撮るために、与えられた時間内に何十枚も何百枚も撮影しているのです。

が広告代理店に勤めていた頃、何度か撮影現場に立ち会ったことがありました。光の角度を変えたり、露出補正をするなどして、同じ構図でも数枚から数十枚は撮るものです。一つのシチュエーションで100枚以上撮ることもざらです。*4

ァインダーをのぞいても、そこに写っている像からは、実際に撮影される画像の何十分の一程度しか情報を得られません。プロとして恥ずかしくないベストの1枚を撮るために微妙に条件を変えながら何枚も撮るのです。被写体が動くものだったらそれは尚更のことです。

してまた、プロカメラマンは目に見えるものだけで撮影しているのではないようです。自分の撮りたい写真を頭に想い浮かべながら、それに近づけるための作業のひとつとしてファインダーを覗き、設定や構図などを変えて撮影しているのです。それは目に見えるものが、その通り写真として定着されないことを知っているからです。

プロは腕を信じていても目は信じていない

間の目は脳と直結して、常に最適に見えるようにできています。明るさやコントラスト、彩度や色調は脳が常に補正してくれるのです。目に染みるほど赤く感じたチューリップも、写真に撮るとくすんで見えたり、肉眼で見たほどの感動は得られません。

れでも感じることだと思いますが、自分で撮ったデジカメの画像をパソコンやプリントで見るとき、『あれ〜実際はもっときれいだったのに』と思うことはありませんか。それは、見えているものが、きれいだと思う気持ちで見ているために、きれいに見えているのです。私たちが見ているきれいさは、脳が作り上げたきれいさであって、それは決して写真に定着できるものではありません。撮影時にきれいだと思うほど、実際に撮られた写真との間にギャップを生じてしまうのです。

ロカメラマンは網膜に映る像をただ撮っているのではなく、自分が表現しようとする写真に近づけるために、レンズや撮像素子を通して定着される画像を想像しながら、構図や設定を変えて撮っているのです。それがプロカメラマンの『腕』なのではないでしょうか。

プロと逆のことをすれば良い

はビギナーがデジカメで上手に写真を撮れるようになるにはプロの真似をすればいいのでしょうか?プロに学ぶことは多く、上達への道であることは否めません。でも、プロと素人の差を埋めるような努力をしていては、写真を撮るのが嫌いになってしまうかもしれません。

にテーマを考えながらカメラを持ち歩いているのではないし、まして撮影した画像がどうなるのか想像もできません。プロがこうだからとか、あーだからなんて考えず、自由な気持ちで撮りながらうまい写真を撮る方法があります。

ロはテーマをもって、被写体を観察し、構図を吟味し、最高の一枚を撮るために、的確に状況を判断してカメラを操作し、枚数を沢山撮ります。

たちは、とにかくたくさん撮った写真の中からテーマに合っているもの、または自分にとってベストの一枚を探せばいいのです。これはというベストショットがあれば、そこに新たなテーマを見出せばいいのです。先ず枚数ありきでデジカメに挑んでみてはどうでしょうか。

とにかく数多く撮ること

ィルムカメラと違って、何百枚撮ってもその度にお金は掛かりませんから、とにかくアクティブに何枚も撮ることです。旅行先で記念碑や絶景の前で整列している家族を撮るだけではく。近寄ったり遠ざかったり、ズームアップしたり、ワイドにしたり、撮っていることを相手に意識させないために、ときにはファインダーやモニター画面を見ないで撮影ボタンを押してみましょう。思いがけず良い表情の家族写真が撮れることがあります。

土産屋さんでの買い物や旅館でくつろいでいるとき、移動中の車内や空港ロビー、いつもはカメラを持ち出さない場所で撮影してみるのも面白いです。旅行の記憶としては残らないような場所で撮影しておくと、意外な発見があるものです。旅行アルバムのブログに混ぜて掲載すれば、ストーリー性や臨場感が得られて、アクセントのあるページを演出できるでしょう。

れいな花に感動したら、真正面から近寄って一枚、引いて一枚、左右からそれぞれ4枚の計6枚、さらに角度や上下の位置を変えればその何倍もの枚数が撮れます。きれいだと思っても撮影するときはそのきれいさにとらわれずに、機械的に身体を使っていろいろな角度から何枚も撮っておきましょう。どんな構図で撮った写真がその花を一番きれいに画像として定着できるのか、それを想像するのは難しいのですから。

い子供が遊んでいる写真やペットの写真を撮るときは、さらにこまめにシャッターを切りましょう。お使いのデジカメに連写モードがあったらそれを有効に使うべきです。いきいきとした表情や、ダイナミックな動きを逃すことなく画像に収めることができます。

ロはテーマをもって撮影に出かけますが、私たちは外出先で撮影を始めてからそこにテーマを見出せばいいのです。たまたま通りがかった田舎の神社でお祭りをやっていたら、金魚すくいに興じる子供らの様子や、神輿を担ぐ青年の姿、神社の建物やしめ縄や供物まで、神社と祭りに関わるありとあらゆるものをカメラに収めましょう。ズーム機能と足と手を使って撮れるだけ撮っておきましょう。その中から、テーマに沿って良く撮れた写真をピックアップすれば、『村の祭り』と題して、立派なページを作ることができます。

写真を見る目を養う

うして沢山の写真を撮ってそれを選ぶとき、必然的に似たような写真の中からピックアップするケースが増えるはずです。どっちとも判断がつけがたいが、ここが良いからこれにする。そういう自己の判断が、写真をみる目を養うことに繋がっていきます。

人が撮影した写真を見るとき、多くの場合そこに写っているモノを見ていることが多く、写真というモノを見ていない場合が殆どです。作者が意図した構図やぼかしの度合いまで詳細に吟味することはありません。なぜなら比較する対象がないからです。とくにプロが撮影した写真は、ピンぼけや構図の悪さを感じることはないですから、そこに写真を見る目は生まれないのです。

ころが自分で撮影した写真の中から選ぶ場合は違います。すこし明るめに撮れたものとそうでないもの、ピンぼけやそうでないものetc…、そんな写真を見るときは、写っているモノではなく、写真というモノを見る目になっていることに気付かされます。そして同じ様に撮れた写真でも、どちらがよりテーマに則しているか、どちらが人に感動を与えられる写真かなどという抽象的な域で写真を吟味するようになると、更に一段レベルの高い写真を見る目が育ち始めるのです。

ブレで失敗していそうに見える写真も、ストロボを使ったことで、部分的にはっきりしていて面白い写真になったとか、青空をいっぱいに入れて、ひまわりを下部にほんの少しいれただけの構図が、意外にも夏っぽくてよかったなど、思い切った構図や、ちょっとした失敗が思いも寄らぬ効を奏すことがあります。

んなことに気付かされると、今度は意識してそういう構図やテクニックを取り入れてカメラを構えるようになるものです。沢山の写真の中から選択することで養われる目は、確実に写真を上手に撮れる腕を育ててくれます。それまで闇雲に枚数を重ねていた行為も、自然と意味のあるものへと変化していくことになるでしょう。

カメラは小さいほど有利

なみにこのページの冒頭のカモメの写真は、青森県の大間で、娘の持っているスナック菓子を狙って飛んでくるシーンを撮影したものです。偶然その場で撮れた1枚ではなく、私なりにこんな写真が撮れたらいいなとその場で思いたち、26枚撮った中の唯一お見せできる1枚なのです。殆どは構図が悪かったりカモメがブレたりして使い物になりませんでした。

の写真は、2万円台で購入した200万画素の当時でも廉価な部類のデジタルカメラで撮ったものです。連写モードがついているカメラであればもっと楽に撮れたことでしょう。その旅行には一眼レフなど2台のフィルムカメラ持っていったのですが、この年の夏休みには、ポケットにすんなり入る小さな2万円のデジカメが大活躍してくれました。

きなカメラやかさばるカメラは、自分がその気にならない限り身につけて外出することはありません。ポケットに入るような小さなカメラなら、ちょっと外出するときにも気軽に持って行けます。いつもカメラを身につけていれば、これはと思った時にその場で撮影できます。少しでも撮影の機会を得られることは、良い写真を1枚でも多く撮るのには有利なことです。

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素人なんだものどうしてもうまく撮れないよ

 同じような写真を何枚も撮影した中からベストな一枚を選んでも、『他の写真の上手なサイトと比べると全然良くないよ』とお嘆きの方も少なくないようです。上手な写真をアップしているサイト、ことにアマチュア以上のレベルの作者さんでさえもベストな1枚を選んで掲載しているのですから、我々素人には足元に及ぶはずもありません。比較して恥ずかしいとか、うまくないから小さく載せようと思う必要などないのです。

 それよりも上手な人が撮る写真と、自分が撮る写真に何らかの違いを感じることはとてもプラスになることです。ブログやホームページに大きく掲載している作者さんは、そうとうなマニアの方ばかりです。機材や撮影にかけるコストと時間、そしてなによりも経験・スキルがダントツに違います。私たち素人はそこから得られるものを吸収しつつ、フツーの写真よりもちょっと差がつく写真を目指せば良いのではないでしょうか。その楽しみの中でさらに上達への道が隠されているかもしれません。

写真はシャッターを押すまでが勝負ではない

 フィルムカメラの時代には、現像とプリントという作業がありました。デジタルカメラの時代ではプリントはしても現像をするのはプロやマニア以外には殆どいません。エエッ?と思われるかもしれませんがデジタルカメラにも現像処理という作業が存在します。一眼レフデジタルカメラやハイエンドコンパクトデジカメに登載されているRAWデータによる画像ファイルの保存では、現像作業が必要となります。RAWデータとはデジカメの撮像素子に投影された電気信号を、なんの加工もしていない状態のままデータ化したものです。つまり生データということです。そのままでは普通のパソコンでは閲覧することはできません。この生データをブログやホームページに載せられるように画像データを変換すること等をさして『現像』とよんでいます。現像液や定着液を使うわけではありません。

 私たちが普通に使っているコンパクトデジカメにはRAWデータで保存可能な機種は少ないですから、そういった意味では現像処理は必要ではありません。しかし現像作業は単にデータを変換するだけではありません、色の調整をしたり、明るさの度合いを変えたり、さらにトリミングなどもおこないます。つまり撮影した画像を加工するわけです。

 そうなんです。撮ってきただけの写真、とくに普通のコンパクトカメラで撮った写真では、冴え渡る青空も、鮮やかな花の色もきれいに再現されないのは仕方のないことなのです。RAWデータが扱えなくても、パソコン上でグラフィックソフトを使えば、色やコントラストなどの調整、さらに失敗した写真を修整することが可能なのです。私たち素人カメラマンにもまだまだ写真をうまく見せる要素は残っているのです。

フリーグラフィックソフトで広がるデジカメ写真の世界

 『なんかパッとしない写真だな』とか『暗く写ってて失敗だ』などという写真もフリー(無料)のグラフィックソフトで甦らせることができます。ソフトを使って修整するとき、どうすればテーマに合った構図になるか、とか、どう撮影すればもっと色鮮やかになっただろうかなど。そして失敗した写真を修整するときは、このときどうすれば失敗しなかったのかという考える機会を与えてくれます。それがフィードバックされて写真撮影の上達につながる筈です。

『みんなのIT活用術』の特集記事では、あなたが撮影した写真をもっと素敵に見せられる方法や、失敗してしまった写真の修整方法、さらにちょっとありえない写真を作る合成画像の作り方などをご紹介しています。是非参考にしてください。目次ページはこちら→『フリーソフトで画像修正&作画にチャレンジ

*1:ワイドで背景ををぼかすことも出来ますが、明るいレンズと、F値のマニュアル設定ができるカメラでないと効果は出ません。普通のコンパクトデジカメは不得意な分野です

*2:手ブレの問題はありますが

*3:発進・加速時のタイヤの空転を防止する装置

*4:現在ではデジタル補正が簡単にできるようになったので、フィルム全盛期にくらべると撮影の仕方も変わったと思います