デジカメ時代の超便利な多目的画像ソフト
- FastStone Image Viewerのダウンロードとインストール
- FastStone Image Viewerのビュワーとしての使い方
- 簡単な画像の加工
- 画像ファイルの一括処理(バッチ処理)
- 一括処理をはじめるには | 一括変換 形式/名前 画面 | 一括変換ファイルの保存先フォルダの指定 | リサイズ | 回転 | クロップ | キャンバス | 色数 | 調節 | DPI | テキスト | すかし | 一括変換の実行
- 最後にちょっと基本的?なこと
今さらデジカメ時代というのも陳腐な気もしますが…。FastStone Image Viewer(ファースト ストーン イメージ ビューワー)は大量のデジカメ写真を整理したり閲覧したり、そして簡単な加工をするのにもとても重宝するソフトです。デジタルカメラを楽しむために生まれてきたデジカメ時代のユーティリティソフトといえそうです。かなり有名なのですでに使っている人は多いのではないでしょうか?
フィルムカメラからデジタルカメラにシフトしてから、どんな人も撮影する枚数が飛躍的に増えて、その保存管理にやはりパソコンをお使いでは?数多くの写真の中から目的に合った画像を探し出し、サイズを変えたりトリミングしたり、時にはちょっとしたレタッチやエフェクトをかけてみたり…。さらに友人や知人に送るために何十枚もの写真をまとめて加工しなければならないときもあります。面倒になりがちなそんな作業もFastStone Image Viewerを使えばスピーディー且つ簡単に処理することができます。
FastStone Image Viewerはビューワーという名前がついていますが、画像を加工するための各種機能やファイル管理機能が満載です。画像の回転、反転、リサイズ、リネーム、線・円形・矩形・文字・画像の挿入、色調レタッチ、シャープ・ぼかし、色数変換、その他フレームマスクや赤目除去などのエフェクトやレタッチをこなしてしまいます。
ビューワーというくらいなので、全画面表示(フルスクリーン)でスライドショーができるのはもちろんですが、その表示状態のままで各種の画像編集ができてしまいます。「目的に合った画像ファイルを探して吟味する」「画像を編集・加工する」「画像ファイルを保存・整理する」という一連の作業が飛躍的に速くできる所以がここにあります。
FastStone Image Viewerは海外のフリーのソフトですが、ありがたいことに日本語化ができます。インターフェイスがわかりやすいので誰にでも扱いやすく、一度使うと手放せなくなるでしょう。ちなみに個人利用ではフリーですが商用目的での使用は有料となります。
※上の画像は全画面表示をさせながら各メニューをポップアップできることを表現するために半透明にしています。実際にこのように表示されるわけではありません。
FastStone Image Viewerのダウンロードとインストール
FastStone Image Viewerはhttp://www.faststone.org/からダウンロードします。ダウンロードするファイルはいくつか選ぶことができます。exeタイプはダウンロードしたらそのままダブルクリックしてインストールします。zipタイプは自分で解凍してセットアップ実行ファイル(exeファイル)にしてからダブルクリックするなどしてインストールします。両者とも違いはそれだけです。portableはシステムにインストールせずにスタンドアローンで動作するタイプでレジストリ等を変更することなく動作します。portableのアンインストールはFastStone Image Viewerのフォルダごと削除するだけですから、自分のPC以外で使用する場合、たとえば仕事先のパソコンとか友人のパソコンでちょっと使うときに便利かと思います。ファイルサイズも大きくないので、スティックメモリーにコピーして使えるので重宝します。ただしデータベースファイルがシステムに依存しないぶん大量の画像を一覧表示させたりスライドショーをしたりすると、システムにインストールするタイプに比べて動作が遅いのだと思います。それからダウンロードですが、Multi-language Versionタイプは日本語に対応してるわけではない(またバージョンも古い)のでEnglish Versionをダウンロードしましょう(これ大事)。日本語化はインストール後に別のサイトからプログラムをダウンロードしておこないます。
インストールはexeファイルをダプルクリックすると、図のような感じで簡単にインストールできてしまいます。高機能のソフトにありがちな、ユーザー登録とかメールアドレスの入力が求められないのも潔い感じがしてとても好感が持ててしまいます。もちろんインストール後に起動しても同様の登録作業などは皆無です。すぐに使うことができます。
FastStone Image Viewerの日本語化
日本語化プログラムは「それさえもおそらくは平穏な日々」のhttp://hibiheion.seesaa.net/category/1140609-1.htmlにあります。作者 zen 氏に感謝しつつありがたくダウンロードさせていただきました。この解説で使用したファイルは“Ver3.40 2007-11-07 3:52:02 Ver3.40 2007-11-07 5:09:26”です。(Ver3.40 2007-11-07修正版が出ています…2008-01-09記)バージョンが合っていないと正しく日本語化できない場合もあります。ダウンロードしたファイルを解凍するとFSIV34_JP_11070509.exeというファイルがあるのでそれをダブルクリックするなどして起動します。
特に難しい作業を必要とはしません。右画像では3番目の部分で「差分用適用フォルダ入力」はFastStone Image Viewerデフォルトの設定でインストールしたときのフォルダが示されています、デフォルトのままFastStone Image Viewerをインストールした場合はそのまま[OK]ボタンをクリックしますが、インストール時に別のフォルダを指定した場合や、portableタイプのFastStone Image Viewerのフォルダをデスクトップなどに置いていたり、スティックメモリーで使う場合は、そのドライブやフォルダ名を入力しなければなりません。それから日本語化するときはFastStone Image Viewerを閉じておきましょう。
FastStone Image Viewerのビュワーとしての使い方
FastStone Image Viewerはとても多機能なのでここだけで隈なく解説することはできませんので、ビューワーとしての使い方、加工・編集の仕方、一括処理の方法などを説明します。右図は起動時の画面です。上段に各種タブメニューやボタン類、左上ペインにフォルダ、左下ペインにプレビューウィンドウ。そして右ペインに画像のサムネイル一覧が表示されます。作業はこの画面でもできますが、全画面表示のスライドショーモードにしてもいちいちこの画面に戻ることなく作業ができるようになっています。
スライドショー
- オートスライドショー
- 自動によるスライドショーからしてかなり多機能です。[表示]タブをクリックして表示されるメニューで[スライドショー]をクリックするか、赤枠のアイコンをクリックすると右図のように「スライドショー」ウィンドウが表示されます。画像ファイルのタイムスタンプやExifの情報を画像中に表示させたり、画像切り替えのエフェクトを選ぶことができます。さらに音楽などの音声データを鳴らしながらのスライドショーが可能です。
[ループ]にチェックを入れれば繰り返し再生してくれるので、展示会や発表会でのデモンストレーションやプロモーション用にも使えそうですね。音声データはMP3、WMA、WAV、MIDIが再生できますが、残念ながら画像との同期はできないようです。
[オートプレイ]にチェックをいれないと手動のスライドショーになりますが、エフェクトや音楽などはそのまま有効です。スライドショーを止めたいときは[Esc]キーを押します。
- 手動スライドショー(フルスクリーンモード)
- 多くの人が頻繁に使うのは手動でのスライドショーだと思います。サムネイル画像をダブルクリックすると、その画像から全画面表示のスライドショーモード(フルスクリーンモード)に切り替わります。左右の矢印キーで画像ファイルを次々に切り替えて表示でき、マウスポインタが虫メガネのアイコン時にはクリックすると拡大表示されます。クリックしたままマウスを動かすと表示位置を動かす(パンする)ことができます。また縮小表示されている画像は上矢印キーを押すと、原寸表示モードになり、上下左右の矢印キーで表示部分を移動させる(パンする)ことができます。マウスでドラッグしても同様に見たい部分をパンできます。このモードから抜けるにはスペースキーを押します。
全画面表示させて一枚いちまい端からお気に入りの画像や目的の画像を探すのもいいですが、右上図のようにマウスポインタを画面の上端に持っていくと画像ファイルがサムネイル表示で横一列になって表示されます。矢印キーやマウスを使ってお目当ての画像を素早く表示させることができます。
またサムネイル画像の上には指定フォルダの変更や、画像ファイルのコピー・移動・削除・回転・比較etcといったファイル管理ができるようになっています。撮影したデジカメ画像の振り分けや、失敗画像の削除など様々なファイル管理がここでできてしまいます。全画面表示から抜けるには画面でダブルクリックするか、[Esc]キーを押します。または右クリックして表示されるメニューで[閉じる]をクリックします。
簡単な画像の加工
これほどたくさんの画像編集ができてしまうのに、なぜ画像編集ソフトを名乗らないでビューワーなのか不思議なくらいです。その唯一の理由は画像の新規作成ボタンが無いから…なのかもしれません。
回転
縦位置で撮影したデジカメ画像は通常は横に寝ていますので、これを90度右か左に回転させたいことがあります。「回転」は[右回転][左回転]をクリックすると90度回転します。メニュー上では文字がくっついているので、クリックしただけではどっちか片一方に回転するのかと思ったらちゃんと左右それぞれに回転します。操作に慣れてきたらショートカットキーを覚えておくと素早い編集ができます。[L]キーで左、[R]キーで右に回ります。
[その他]をクリックすると「回転」ウィンドウが表示されて、微妙な画像の傾きを修正することができます。直角以外の角度では余白ができて写真部分が小さくなるように表示されますが、実際に保存される写真画像の大きさは変わりません。「後」に表示されている十字の線はドラッグして水平および垂直の基準線として使います。
他のメニューでの画像編集で共通ですが、変更を加えた画像ファイルは、他の画像を表示させようとするときに、「変更された画像を保存しますか?」とう「情報」ウィンドウが表示されます。保存する場合は[Yes]ボタンをクリックして、表示された「名前を付けて保存」ウィンドウで任意の名前や別のフォルダに保存するか、そのまま[保存]ボタンをクリックして上書き保存することができます。またはメニューの上から2番目にある[名前を付けて保存]をクリックすれば同様に保存できます。取り消したい場合は[Ctrl]キー+[Z]キーを押すか、メニュー下方にある「戻す&繰り返す」の[戻す]をクリックします。
リサイズ/リサンプル
画像の縦横のサイズを変更します。それぞれ「ピクセル」「パーセント」「印刷サイズ」「スタンダード」*1から縮小(または拡大)する際に使いたい単位を使って縮小できます。「スタンダード」頻繁に使うサイズのプリセット一覧です。[アスペクトを保持]にチェックを入れておくと[幅]または[高さ]の数値を変化させると、もう一方もその比にあわせて変化します。チェックをはずすと別々にサイズ指定が可能となります。[フィルタ]は縮小(または拡大)する際に使われるアルゴリズムの種類です。デフォルトがLanczos3となっていますが、高品質が期待できるアルゴリズムですので基本的には変える必要はないと思います。
クイックリサイズ/リサンプル
上のリサイズリサンプルで説明した、スタンダード(プリセットサイズ)がメニュー上で直に選択してサイズ変更できるようになっています。デジカメ画像をリサイズする場合は便利に使える機能です。個人的にはどちらかというとこっちのほうが出番が多いです。
キャンバスサイズ
キャンバスサイズは写真を表示するためのエリアの大きさのことです。拡大縮小のやりかたは「リサイズ/リサンプル」と同じです。大きくすると周囲に余白ができます。[背景]をクリックして背景色を任意の色に変更することができます。キャンバスサイズを写真のサイズより小さくすると、はみ出た部分がカットされるのでトリミングをしたようなかたちになります。
クロップボード
クロップボードとはトリミングのことです。[用紙サイズ]では各種のサイズや比率を選ぶことができます。[4:3 ratio]はデジカメの一般的はアスペクト比ですので比率を変えずにトリミングするときはこれを使うと便利です。もちろん自由な比率&サイズでもトリミングできます。画面は[#]ボタンをONにして[OD]のスライダーを調整してトリミング対象の外側を暗くしています。
[ファイルへロスレスクロップ]はトリミングした画像を保存するためのボタンです。デフォルトでファイル名の末尾に“_cr”が付与されます。任意のファイル名とファイルタイプで保存することができます。[クリップボードへ]をクリックして他の画像編集ソフトへ持っていくことができます。Gimpの場合だと幅と高さの情報を受け取れない(?)ので、Gimpの[新規]メニューで画像を新規作成するときは「クロップボード」画面の左下の幅と高さの値を入力しなければなりません。
ドローボード
一般のドロー系ツールに慣れているとお世辞にも使い勝手が良いとはいえませんが、文字や枠線を入れたりちょっとしたイラストを描くこともできます。ちなみにアンドゥ機能はない(?)のかもしれないので、手書き線などを失敗したときは削除するしかなさそうです。またオブジェクトを重ねると、どうしてもつかめないものがでてくるので要注意。
色調レタッチ
明るさ、コントラスト、ガンマ値、RGB調整、色相、彩度が調整できます。[元画像を見る為保持する]をクリックすると、修整前の画像を見ることができます。[設定を保持]にチェックを入れると、同一の設定で複数の画像を処理するときに便利です。数値を変更するとスライダーの右脇に[×]ボタンが表示されるので、それをクリックすると値をリセットすることができます。
色数の編集
グレースケール、セピア、ネガ、色数の減色がそれぞれできます。[色数]をクリックするとその画像で使用されている色の数を算出します。[ヒストグラム]は単に色の度数部分を表示するだけで、ついでにレベル補正ができるとか…ということではないようです。
バンプマップ
画像に彫金のような効果をもたせることができます。人の写真でこれをやると、炭素冷凍されたハンソロのようになります。ハンソロに憧れているひとは是非ご自分の写真で(^^)
モーフィング
この処理をなぜモーフィングと呼ぶのかわかりませんが、印象派風?の点描でエフェクト処理がされます。プレビューと実際の処理画像では点の粒度が違います。場合にもよりますが彩度を上げてコントラストを下げ気味にすると効果的です。
目立たなくする(ぼかし)
例えば写真に写っている車のナンバーを隠すとか、肖像権保護、看板の電話番号や所在地を消す等など、はっきり写っていては困る部分にぼかしをいれるための機能…でしょうか(?)いわゆる墨消の控えめ版みたいな感じ。使い方はちょっとわかりづらいかもしれません。まず画像上で右クリックして表示されるメニューで[選択]の[矩形選択モード]にチェックを入れます。画像上で目立たせたくない部分(隠したい部分)を[Ctrl]キーを押しながらマウスでドラッグして領域選択します。[Ctrl]キーを押している間は矩形選択領域のそれぞれのコントロールポイント(四隅と辺の中央にある白の四角マーク)をドラッグすれば各サイズの変更ができます。また同様に選択領域の内側でドラッグすると選択領域を移動することができます。領域選択したら、[目立たなくする(ぼかし)]をクリックすると選択領域をぼかします。ぼかしが足りないときは続けてクリックしてぼかしの度合いを強くします。
赤目除去
赤目の部分を領域選択して[赤目除去]ボタンをクリックするだけです。大きな範囲で領域選択すると色が変わってしまう部分が出る場合があるので、なるべく目の周りに範囲を絞って領域選択します。なぜなら目のある場所を自動認識するわけではなく、赤い部分の彩度を落として黒っぽくするだけなので、例えば赤いふちのメガネをかけていて、それが選択領域に掛かっているとその部分が黒っぽくなってしまいます。領域選択はクリックした場所を中心にドラッグする距離に応じて円形の面積が広がります。斜め45度で正円に、水平または垂直方向に近づけるほどその方向に対して選択領域の楕円の扁平率が高くなります。また[Shift]キーを押しながらドラッグすることで複数の領域を選択することが可能です。
(※ちなみにこの画像は擬似的に赤目にしたものです)
画像ファイルの一括処理(バッチ処理)
このソフトを気に入っている最大のポイントがここにあります。一括処理で使用する機能の殆どはリサイズやりネームが主ですが、その他にたくさんの処理をこなせるのがFastStone Image Viewerの魅力です。また一括処理したファイルに元画像のExifデータをきちんと継承してくれるのも助かります。一括リサイズ処理ができるフリーのソフトの中には意外にExifデータを画像ファイルに含めないものが多く見られます。Exifデータとは画像ファイル(主にJPG)に書き込まれている文字データのことで、FastStone Image Viewerのフルスクリーンモード時に画面右端にマウスを移動すると表がポップアップして、一部ではありますが主要なデータを見ることができます。
一括処理をはじめるには
一括処理はフルスクリーンモード時でもそうでないときでも、サムネイル表示をしているペインで右クリックをして表示されるメニューから[一括変換]をクリックして起動します。このときあらかじめ[Shift]キーか[Ctrl]キーを押しながら対象となる複数のファイルを選択しておくと良いでしょう。
一括変換 形式/名前 画面
[一括変換]をクリックして表示されるのがこの画面です。この画面からも変換対象のファイルを選択して追加したり、対象から外したりすることができます。
- [追加][全追加][削除][クリア]ボタン
- 「入力リスト」に変換対象のファイルをリストアップします。起動時に複数のファイルを選択している場合は入力リストにファイル名がリストされています。各ボタンを使って「ソース」から対象ファイルを選んで「入力リスト」に加えたり、また「入力リスト」から除外したりします。ちなみに「ソース」に表示されているファイル名で右クリックして表示されるメニューでは一部機能しないメニューがあるようです…あまり意味は無いですが。
- 出力形式
- プルダウンメニューからJPG、BMP、PNG、JPG2000、TIFFを選べます。[設定]ボタンをクリックすると「形式出力オプション」画面が表示され、各種ファイル形式に応じた属性やクオリティなどの設定ができます。
- 出力フォルダ
- 一括変換したファイルを保存するフォルダを指定します。[選択]ボタンをクリックするとフォルダ選択画面が表示されます。
- アドバンスオプションの使用
- チェックすると[アドバンスドオプション]ボタンが表示され、それをクリックすると各種の変換メニューをタブ形式で選択および設定する画面が表示されます。
- リネーム
- リネームにチェックするとプルダウンメニューが表示され、そこから4種類のリネームフォーマットを選択できます。詳しくは[?]ボタンをクリックして詳細をご確認ください。数字を入力する部分は付与される連番の開始番号を入力します。また小文字大文字が選択できます。
- 上書き前に確認する
- チェックを入れると処理されたファイルが既存のファイルを上書きするときに確認ダイアログが表示されます。
- 日時属性の保持
- チェックを入れると、ファイルの更新日時が保持されます。チェックを入れないと処理した日時となります。
一括変換ファイルの保存先フォルダの指定
「出力フォルダ」の[選択]ボタンをクリックすると「Select a folder」が表示されます。既存のフォルダを選んだり、新規フォルダを作成し任意のフォルダ名をつけて保存先フォルダを決めます。同一フォルダに保存するときや同一フォルダ内に新規フォルダを作るときは、いちいちこの画面を使うのも面倒です。なので同一のフォルダ内なら“./”とか、新規フォルダなら“./example”と入力してしまったほうが手っ取り早くて簡単です。また“./リサイズ”などと日本語も使えます。ちなみに“.”を入れないとCドライブ直下か、指定した名前のフォルダがCドライブ直下につくられてそこに保存されてしまいます。もちろん“c:\photo\newfolde”とフルパスを入力してもOKです。
リサイズ
「一括変換 形式/名前」ウィンドウで、[アドバンスオプションの使用]にチェックを入れて表示された[アドバンスオプション]ボタンをクリックして表示されるのがこの画面です。「リサイズ」は画像の幅や高さを任意に変更するための機能です。[新規幅]と[新規高さ]に直接数値を入力するか、右横のプルダウンメニューからサイズを選択します。[アスペクト比保持]のチェックをはずすと、幅と高さを元の画像のアスペクト比に関係なく指定することできます。通常はチェックをいれておきます。その他いろいろオプションがありますので、一括処理する目的に合わせて選択してください。
クロップ
各種のトリミング方法が設定できます。[JPG形式でロスレスクロップ]とは元のJPGの品質を保持したまま回転処理するためのもので通常をチェックを入れておきます。
色数
減色する色数を決めます。デジカメ写真の場合サムネイル画像などの小さな画像にする以外はあまり個人的には使用しません。GIFファイルなどの色数指定は「一括変換 形式/名前」ウィンドウの「出力形式」の[設定]でおこないます。
DPI
解像度を指定します。主に印刷に関係する事項です。詳しくはこちらへ→http://ja.wikipedia.org/wiki/Dpi
最後にちょっと基本的?なこと
エクスプローラで開いた任意のフォルダや、デスクトップやデスクトップに作ったフォルダへ、FastStone Image Viewerのプレビューペインから画像ファイルをドラッグアンドドロップできますが、その逆はできないようです。仕様ミス(バグ)なのかわかりませんが、FastStone Image Viewerへドラッグアンドドロップで画像ファイルを移動もしくはコピペしたい場合は、フォルダーペインでおこないます。
それではFastStone Image Viewerをご堪能くださいませm(__)m
*1:最後の字は“ド”だと思うが切れているので定かではない
パノラマ画像作成ツールHuginの使い方
普通のデジカメ画像を合成してパノラマ写真を作るで解説したGimpによるパノラマ画像と同じ素材を使って、Huginの基本操作を解説しながらパノラマ画像を作成してみます。Huginを使うとこんなパノラマ画像が超簡単に合成できてしまいます。
この3つの写真をあなたのパソコンに保存してHuginでパノラマ合成の練習にお使いください。保存のしかたはクリックして表示させた大画像をブラウザからドラッグアンドドロップして任意のフォルダにコピーするか、各画像で右クリックして表示されるメニューで[対象をファイルに保存]をクリックして任意のフォルダに保存してください。
※この画像はHuginの操作練習以外の用途にはお使いにならないようお願いします。
※Huginのインストールに関してはこちら→パノラマ写真ツールHuginのインストール
画像の読み込み
画像3枚をHuginに読み込みます。ここでは[Assistant]タブの[1.Load images...]をクリックして「画像を追加」ウィンドウから読み込みます。読み込み対象の画像を[Shift]キー(または「Ctrl」キー)を押しながら全部選択して「開く」ボタンをクリックします。
このとき「Camera and Lens data」ウィンドウが表示される場合があります。このウィンドウでは、「HFOV」の数値の入力を促しています。HFOVとは画角(水平視野角)のことです。HFOVの値が正確にくインプットされないと、パノラマ画像を合成するときにズレとなって現れます。さらにかけ離れた入力値ではコントロールポイント(画像の中の合致する部分の目安)を生成することができず、各画像の貼り合わせが困難となりパノラマ合成すること自体ができなくなります。ですのでここでは極力正しい数値を入力する必要があります。
Exifの規格または仕様(?)によって画像ファイルからHFOVの値を算出できないため、このウィンドウが表示されてしまうようです。Exifとは画像ファイルに埋め込まれた文字データです。撮影したカメラのメーカー名や機種、レンズの焦点距離やf値、その他諸々のたくさんの情報が記録されています。実際には冨士フィルム、Nikon、キャノン、ペンタックス、パナソニックのデジカメではこのダイアログが表示されないことを一部確認していますが、これらのメーカーのカメラ全てがそうであるとは限らないかもしれません。
また、画像サイズが大きくて処理に時間がかかるなどの理由で画像サイズを縮小して使用する場合、縮小された画像ファイルに元画像のExif情報が含まれるように保存しないといけません。Exifの情報が正しく受け継がれていないと、それまでは表示されなかったこのダイアログウィンドウが表示されるようになります。
このダイアログが表示されたとき何を入力すれば良いか、下のHFOVの求め方を参考にあなたのデジカメに合った数値を算出して入力してください。
HFOVの求め方
上の画像の「Camera and Lens data」には[Focal length]に7.4という数字が表示されていました。これは焦点距離7.4ミリという意味ですが、この値はExifから取得した焦点距離の値を表示しています。カメラの仕様書の焦点距離の部分を見ると、7.4という数字があります。撮影したカメラで一番広角側にして撮影したので7.4となっています。もし最大望遠(デジタルズームは除く)で撮影した場合は、22.2となる筈です。またExifからなにも情報が取得できなかった場合は[Focal length multiplier]に 1 が表示されます。
[Focal length]に何か数字が表示されていて、それが撮影したときの焦点距離の値と同じであれば、[Focal length multiplier]の入力欄に 35ミリフィルムで換算した焦点距離の値である35を実際の焦点距離7.4で割った値(35÷7.4)の4.72973(小数点第5位まで有効)を入力します。[HFOV]の入力欄には52.62という値が自動で算出され表示されます。これで[OK]ボタンをクリックします。
また別の例では焦点距離が5.1mmで、それが35ミリフィルム換算では24mmとなるデジカメで撮影した場合は、24÷5.1=4.70588を[Focal length multiplier]に入力します。
[Focal length multiplier]に 1 が表示されている場合は、画角(水平視野角)がわかっていればその値を、または焦点距離がわかっていればその値(35mmフィルム換算)を入力します。いずれもわからない場合は大体の値を入れておきます。精度は落ちますが合成画像の枚数が少なければそれなりの画像は作成できます。
広角アダプターレンズなどを使って、Exifに記録されている焦点距離と実際に撮影された焦点距離が違っている場合、たとえば0.7倍の広角アダプタを使って撮影した場合は、[Focal length]に7.4×0.7=5.18の値を入力します。[Focal length multiplier]は同じ数値でかまいません。
プレビューウィンドウの使い方
Huginは画像合成の精度が高いので、処理枚数が少ない場合はこれといった微調整をしなくてもきれいなパノラマ写真が楽しめます。基本的な操作としては「プレビュー」ウィンドウの操作ができればほぼ満足のいく結果が得られます。ですのでここではプレビューウィンドウの操作を基本操作と位置付け解説しています。 右図が読み込まれたときの状態です。読み込み画像をドラッグアンドドロップした場合と違って、[Assistant]タブ画面の[1.Load images...]で画像を読み込ませると、そのまますぐに処理が実行されてプレビュー画面が表示されます。[画像]タブ画面で[画像を追加]ボタンをクリックして追加するのと動作が違っていて、これはベータ版故の相違なのかもしれません。今後大幅にGUIや動作の改良がおこなわれると思いますし、これといった実害はないので気にすることはないと思います。
画像を中央に表示する…[中央に]ボタン
[中央に]のボタンをクリックすると画像が中央になるように自動調整します。キャンバスと画像に余白がある場合はそれを削除し、画像がキャンバスからはみ出ている場合はキャンバスを広げます。
※画像を表示させるためのスペースを「キャンバス」と勝手に呼称してます。実際は違う名前かもしれませんがあしからず(^^;
画像をキャンバスにフィットさせる…[フィットさせる]ボタン
[フィットさせる]ボタンをクリックすると、キャンバスの中心点の位置を変えずに、キャンバスを画像にフィットさせます。たとえばキャンバスから画像がはみ出ている場合は、画像が全て含まれるようにキャンバスが広がります。
画像を整列させる…[Straighten]ボタン
[Straighten]ボタンをクリックすると画像の回転や縦横の位置をずらしているときに、水平方向に整列させます。このとき[フィットさせる]と同様の動作も加わり、上下左右の余白を削除します。
画像の角度調整…[Num.Transf.]ボタン
[Num.Transf.]ボタンをクリックすると「Numerical Transform」ウィンドウが表示されて、それぞれYaw、Pitdh、Rollに数値を入力して画像の角度調整ができます。
- [Yaw]
- 水平方向の角度を調整します。30で処理した場合は右図のように30度右にシフトした状態になります。目視で調整する場合は水平方向の基準線(中央の横方向のグレーの線)の任意の場所でクリックすると、クリックした点が中心にくるように画像が水平にシフトします。線より上下にずれた場所でクリックするとそのぶん上下にもシフトしてしまいます。
画像の表示・非表示の更新を自動にする…[自動]ボタン
[自動]ボタンをONにすることで[表示する写真]の[1][2][3]…ボタンをクリックして、写真の表示or非表示の切り替えをリアルタイムでおこなえるようにします。個人的にはあまり使わないボタンです。
画像の表示・非表示を更新する…[更新]ボタン
[自動]がONになっていなかった場合の画像の表示状態を更新します。個人的にはあまり使わないボタンです。
画像をすべて表示する…[すべて]ボタン
読み込んでいる画像を全て表示します。あまり使わないボタンです。
画像をすべて非表示にする…[なし]ボタン
読み込んでいる画像を全てを消します。あまり使わないボタンです。
プレビューオプション
- 投影法
- パノラマ合成ソフトは簡単に説明すると球に画像を貼り付け、それを平面に投影したかたちでパノラマ画像を作成する仕組みになっています。球体である地球が矩形の世界地図として表現されるのと同じ原理です。そのため投影法という言葉が使われています。今回の解説のように広角レンズで一枚の画像に納めきれない景色を、ソフトウェアーでカバーする目的で作成するパノラマ写真の場合は、ダイナミックな景色を強調したり形を変形させたりしてパノラミックな印象を強める目的で、お好みの投影法を選んで楽しんでみるのも良いでしょう。一方、3Dパノラマ画像を作成する場合は、パノラマビューアーの仕様に見合った投影方法を選択しなければなりません。それに関してはまた次回に…。
- ブレンド
- [差]を選択するとぴったり重ね合わせることができない部分が明るく表示されます。真っ黒に表示されるほど重ね合わせの精度が高いことを表しています。HFOVの入力値が適切でなかったり、誤差が大きかったりすると別枠で示したようになります。またHFOVが正確な値であっても、レンズ特有の歪みによって、特に画像の四隅の重ね合わせが綺麗に処理されない場合があるようです。
パノラマ画像作成ツールHuginの使い方
「パノラマ画像を作る方法4つの比較」で紹介したHugin。これはなかなかすぐれもののパノラマ合成ソフトです。ぐるりと見渡せるパノラミックな画像だけでなく、デジカメの弱点である広角域をソフトウェアでカバーするツールとしても便利に使えそうです。興味のある方はインストールして活用してみてはいかがでしょうか。
Huginはハグインと発音するのだそうです。読み方に関しての詳細は「Panorama-ダルマのつぶやき 01:スティッチングソフト-hugin(ハグイン) 」http://shaolin.blog.shinobi.jp/Entry/19/ に記されています。また同サイトではHuginや他のツールで合成したパノラマ画像もたくさん見ることができます。
追記http://shaolin.blog.shinobi.jp/Entry/59/ではフギンという説も…。ちなみに私はハギンだと勝手に思っていました。いまだに心の中ではハギンといってます(^^)
さて本題のインストールですが、Huginはこれ一つのアーカイブ(圧縮ファイル)をダウンロードしただけでは動作しません。いくつかのファイルを異なるサイトからダウンロードする必要があり、それらをHuginで設定する必要があります。HuginはユーティリティとしてのGUIを提供するソフトなので、パノラマ作成に関する主たる動作、つまりコントロールポイントの制御や貼り合わせや明度の調整などは、他の開発者が作成したプログラムを使うことになるからです。またライセンスの関係で同梱して二次配布することは難しいものと思われます。
ここではPanoToolsのPTStitcher.exeおよびpano12.dllとAUTOPANOのautopano.exeを使って動作環境を作る例を解説します。内容はダウンロードしたファイルを解凍して、中から必要なファイルをHuginのフォルダに貼り付ける作業とちょっとした設定です。パソコン初心者でも、ウィンドウズのフォルダの仕組みや圧縮ファイルの解凍の仕方を知っていればたわい無い作業です。知らなくてもたぶんこれを読めばインストールできると思います。
Huginのダウンロードとインストール
Huginはダウンロードページの「latest hugin installer or zip file」と記されたリンクをクリックして、リンク先のhuginのDownloadボタンをクリックしてさらにその先にある所定の圧縮ファイルをダウンロードします。この記事ではWindowsXPにインストールするのでダウンロードするファイルはhugin-0.7_beta4_windows.zipです。
解凍するとhugin-0.7_beta4_windowsフォルダ以下は右図のような構成になっています。インストーラは無いのでフォルダ名をhuginとするなどして、適当な場所にコピーします。この場合はc:\Program Filesにコピーしました。
ショートカットアイコンは自動で作成されないので、デスクトップ画面にショートカットを置きたい場合は、デスクトップ画面で右クリックして表示されるメニューで、[新規作成]の[ショートカット]をクリックします。右図上のような画面が表示されるので、[参照]ボタンをクリックして「フォルダの参照」ウィンドウでhuginをコピーしたフォルダを開いて、hugin.exeを選択して[OK]ボタンをクリックします。「名前の指定」では適当な名前、Huginとかにして[完了]ボタンをクリックします。
スタートメニューに入れたい場合は、C:\Documents and Settings\ユーザ名\スタート メニュー\プログラムをエクスプローラで開いて、そこで上記と同じ操作をして登録します。
PanoToolsのダウンロードとインストール
PanoToolsはhttp://www.all-in-one.ee/~dersch/からダウンロードします。ページ下のほうにスクロールさせると●Download PanoTools 2.6:と記された部分があるので、そこからWindows Version 2.6b1, includes Gimp plug-inをダウンロードします。
PanoTools.zipを解凍するとPanoToolsフォルダの中は右図のようになっています。PanoToolsフォルダを開いてpano12.dllをコピーして、C:\WINDOWS\system32フォルダ(またはバスの通ったシステムフォルダ)に貼り付けます。またPanoToolsの中のHelpersフォルダを開いてその中にあるPTStitcher.exeをコピーして、Huginをインストールしたフォルダに貼り付けます。
※デフォルトのままでの動作ではPanoToolsのそれぞれのファイルは必要ありません。とにかく早く使ってみたい方はこの部分の作業をしなくてもOKです。
Autopanoのダウンロードとインストール
Autopanoはhttp://autopano.kolor.com/からダウンロードします。ページを下のほうにスクロールさせると「Download Area」と記された場所があるので、そこからautopano_v103.zipをダウンロードします。ちなみに「License ?」にはThis software is provided for non-commercial use only.と記されていますので商用目的では使用できません。http://www.autopano.net/ではAutopano Proを販売しています。複数のパノラマ画像のバッチ処理もできるので商用で多用したい場合は最適かと思います。
autopano_v103.zipを解凍すると右図のようになっています。autopano.exeをコピーして、これも同様にHuginをインストールしたフォルダに貼り付けます。
Huginの設定
Huginを起動します。先ほど作ったショートカットか直接hugin.exeをダブルクリックすれば起動して、右図のようにヒントが現れます。
- [ファイル]タブをクリックして表示されるメニューで[環境設定…]をクリックします。
- 「Hugin − 環境設定」ウィンドウで[Panotools]タブを開いて[PTStitcherプログラムを自分で選択]にチェックを入れます。
- [選択]ボタンをクリックしてHuginをインストールしたフォルダに先ほどコピーしたPTStitcher.exeを選択して[開く]ボタンをクリックします。
※デフォルトのままでの動作ではPTStitcher.exeを指定する必要はありません。とにかく早く使ってみたい方はこの部分の作業をしなくてもOKです。
次に「Autopano」タブを開いて、[autopanoプログラムを自分で選択]にチェックを入れて、上と同様にautopano.exeを選択して[開く]ボタンをクリックします。
次にenblend.exeを指定するのですが、これは最初から入っているファイルを指定します。「Enblend」タブを開いて、[Enblendプログラムを自分で選択]にチェックを入れて[選択]ボタンをクリックして、Huginをインストールしたフォルダの中のenblendフォルダを開くと中にenblend.exeがあるので、それを選択して[開く]ボタンをクリックします。
以上でHuginのインストールはおしまいです。お疲れ様でした(^^)
Huginが正常に動作するか使ってみる
AUTOPANOのサイトhttp://autopano.kolor.com/にサンプル画像があるので、ダウンロードして動作確認がてらパノラマ合成させてみましょう。ダウンロードするファイルはsample_pictures.zipです。
sample_pictures.zipを解凍するとサイトに掲載されている画像と同じ物が入っているので、これをHuginにドラッグアンドドロップします。[Ctrl]キーを押しながら複数選択して図のようにまとめてドラックアンドドロップしてしまってもOKです。
画像を読み込ませたら、[2.Align…]ボタンをクリックします。図のようにコマンドプロンプトがポップアップして処理の経過が表示されます。
処理が終るとつなぎ合わされたパノラマ画像がプレビュー表示されます。これを画像ファイルとして保存したい場合は、[3.Create panorama…]ボタンをクリックします。同様にコマンドプロンプトに処理経過が表示されて、指定したフォルダに画像ファイルが生成されます。
右図が生成されたパノラマ画像です。デフォルトではTIFファイルで出力されます。画像をドラックアンドドロップしてボタンを2回押しただけでここまでできてしまうのですからフリー(無料)のパノラマツールとはいえ結構便利に使えそうなソフトだと思います。デジカメで広角にしても撮りきれなかったとき、角度を変えて数枚撮っておいて後から合成して一枚の写真に仕上げる…そんな使い方も気軽にできるのでは?
※読み込ませる画像によっては数値の入力を求められる場合もあります。基本的な使い方に関しては「パノラマ画像作成ツールHuginの使い方」をご覧ください。
最後に
オープンソースのソフトウェアは様々な場所で様々な人がバージョンや機能・性能の異なるものを配布していたりするものです。ここでご紹介している内容がベストな選択ではないかもしれないことを予めご了承ください。さらに配布されているソフトウェアの構成や機能が変更されていることがありますのでご注意ください。この記事は2007年12月1日時点のものです。
この記事で間違っている点がございましたら、ご指摘いただけるとありがたいです。それほど使い込んでいないのでわからない部分が多々あります。マ写真の例" />
普通のデジカメ画像を合成してパノラマ写真を作るで解説したGimpによるパノラマ画像と同じ素材を使って、Huginの基本操作を解説しながらパノラマ画像を作成してみます。Huginを使うとこんなパノラマ画像が超簡単に合成できてしまいます。
この3つの写真をあなたのパソコンに保存してHuginでパノラマ合成の練習にお使いください。保存のしかたはクリックして表示させた大画像をブラウザからドラッグアンドドロップして任意のフォルダにコピーするか、各画像で右クリックして表示されるメニューで[対象をファイルに保存]をクリックして任意のフォルダに保存してください。
※この画像はHuginの操作練習以外の用途にはお使いにならないようお願いします。
※Huginのインストールに関してはこちら→パノラマ写真ツールHuginのインストール
画像の読み込み
画像3枚をHuginに読み込みます。ここでは[Assistant]タブの[1.Load images...]をクリックして「画像を追加」ウィンドウから読み込みます。読み込み対象の画像を[Shift]キー(または「Ctrl」キー)を押しながら全部選択して「開く」ボタンをクリックします。
このとき「Camera and Lens data」ウィンドウが表示される場合があります。このウィンドウでは、「HFOV」の数値の入力を促しています。HFOVとは画角(水平視野角)のことです。HFOVの値が正確にくインプットされないと、パノラマ画像を合成するときにズレとなって現れます。さらにかけ離れた入力値ではコントロールポイント(画像の中の合致する部分の目安)を生成することができず、各画像の貼り合わせが困難となりパノラマ合成すること自体ができなくなります。ですのでここでは極力正しい数値を入力する必要があります。
Exifの規格または仕様(?)によって画像ファイルからHFOVの値を算出できないため、このウィンドウが表示されてしまうようです。Exifとは画像ファイルに埋め込まれた文字データです。撮影したカメラのメーカー名や機種、レンズの焦点距離やf値、その他諸々のたくさんの情報が記録されています。実際には冨士フィルム、Nikon、キャノン、ペンタックス、パナソニックのデジカメではこのダイアログが表示されないことを一部確認していますが、これらのメーカーのカメラ全てがそうであるとは限らないかもしれません。
また、画像サイズが大きくて処理に時間がかかるなどの理由で画像サイズを縮小して使用する場合、縮小された画像ファイルに元画像のExif情報が含まれるように保存しないといけません。Exifの情報が正しく受け継がれていないと、それまでは表示されなかったこのダイアログウィンドウが表示されるようになります。
このダイアログが表示されたとき何を入力すれば良いか、下のHFOVの求め方を参考にあなたのデジカメに合った数値を算出して入力してください。
HFOVの求め方
上の画像の「Camera and Lens data」には[Focal length]に7.4という数字が表示されていました。これは焦点距離7.4ミリという意味ですが、この値はExifから取得した焦点距離の値を表示しています。カメラの仕様書の焦点距離の部分を見ると、7.4という数字があります。撮影したカメラで一番広角側にして撮影したので7.4となっています。もし最大望遠(デジタルズームは除く)で撮影した場合は、22.2となる筈です。またExifからなにも情報が取得できなかった場合は[Focal length multiplier]に 1 が表示されます。
[Focal length]に何か数字が表示されていて、それが撮影したときの焦点距離の値と同じであれば、[Focal length multiplier]の入力欄に 35ミリフィルムで換算した焦点距離の値である35を実際の焦点距離7.4で割った値(35÷7.4)の4.72973(小数点第5位まで有効)を入力します。[HFOV]の入力欄には52.62という値が自動で算出され表示されます。これで[OK]ボタンをクリックします。
また別の例では焦点距離が5.1mmで、それが35ミリフィルム換算では24mmとなるデジカメで撮影した場合は、24÷5.1=4.70588を[Focal length multiplier]に入力します。
[Focal length multiplier]に 1 が表示されている場合は、画角(水平視野角)がわかっていればその値を、または焦点距離がわかっていればその値(35mmフィルム換算)を入力します。いずれもわからない場合は大体の値を入れておきます。精度は落ちますが合成画像の枚数が少なければそれなりの画像は作成できます。
広角アダプターレンズなどを使って、Exifに記録されている焦点距離と実際に撮影された焦点距離が違っている場合、たとえば0.7倍の広角アダプタを使って撮影した場合は、[Focal length]に7.4×0.7=5.18の値を入力します。[Focal length multiplier]は同じ数値でかまいません。
プレビューウィンドウの使い方
Huginは画像合成の精度が高いので、処理枚数が少ない場合はこれといった微調整をしなくてもきれいなパノラマ写真が楽しめます。基本的な操作としては「プレビュー」ウィンドウの操作ができればほぼ満足のいく結果が得られます。ですのでここではプレビューウィンドウの操作を基本操作と位置付け解説しています。 右図が読み込まれたときの状態です。読み込み画像をドラッグアンドドロップした場合と違って、[Assistant]タブ画面の[1.Load images...]で画像を読み込ませると、そのまますぐに処理が実行されてプレビュー画面が表示されます。[画像]タブ画面で[画像を追加]ボタンをクリックして追加するのと動作が違っていて、これはベータ版故の相違なのかもしれません。今後大幅にGUIや動作の改良がおこなわれると思いますし、これといった実害はないので気にすることはないと思います。
画像を中央に表示する…[中央に]ボタン
[中央に]のボタンをクリックすると画像が中央になるように自動調整します。キャンバスと画像に余白がある場合はそれを削除し、画像がキャンバスからはみ出ている場合はキャンバスを広げます。
※画像を表示させるためのスペースを「キャンバス」と勝手に呼称してます。実際は違う名前かもしれませんがあしからず(^^;
画像をキャンバスにフィットさせる…[フィットさせる]ボタン
[フィットさせる]ボタンをクリックすると、キャンバスの中心点の位置を変えずに、キャンバスを画像にフィットさせます。たとえばキャンバスから画像がはみ出ている場合は、画像が全て含まれるようにキャンバスが広がります。
画像を整列させる…[Straighten]ボタン
[Straighten]ボタンをクリックすると画像の回転や縦横の位置をずらしているときに、水平方向に整列させます。このとき[フィットさせる]と同様の動作も加わり、上下左右の余白を削除します。
画像の角度調整…[Num.Transf.]ボタン
[Num.Transf.]ボタンをクリックすると「Numerical Transform」ウィンドウが表示されて、それぞれYaw、Pitdh、Rollに数値を入力して画像の角度調整ができます。
- [Yaw]
- 水平方向の角度を調整します。30で処理した場合は右図のように30度右にシフトした状態になります。目視で調整する場合は水平方向の基準線(中央の横方向のグレーの線)の任意の場所でクリックすると、クリックした点が中心にくるように画像が水平にシフトします。線より上下にずれた場所でクリックするとそのぶん上下にもシフトしてしまいます。
画像の表示・非表示の更新を自動にする…[自動]ボタン
[自動]ボタンをONにすることで[表示する写真]の[1][2][3]…ボタンをクリックして、写真の表示or非表示の切り替えをリアルタイムでおこなえるようにします。個人的にはあまり使わないボタンです。
画像の表示・非表示を更新する…[更新]ボタン
[自動]がONになっていなかった場合の画像の表示状態を更新します。個人的にはあまり使わないボタンです。
画像をすべて表示する…[すべて]ボタン
読み込んでいる画像を全て表示します。あまり使わないボタンです。
画像をすべて非表示にする…[なし]ボタン
読み込んでいる画像を全てを消します。あまり使わないボタンです。
プレビューオプション
- 投影法
- パノラマ合成ソフトは簡単に説明すると球に画像を貼り付け、それを平面に投影したかたちでパノラマ画像を作成する仕組みになっています。球体である地球が矩形の世界地図として表現されるのと同じ原理です。そのため投影法という言葉が使われています。今回の解説のように広角レンズで一枚の画像に納めきれない景色を、ソフトウェアーでカバーする目的で作成するパノラマ写真の場合は、ダイナミックな景色を強調したり形を変形させたりしてパノラミックな印象を強める目的で、お好みの投影法を選んで楽しんでみるのも良いでしょう。一方、3Dパノラマ画像を作成する場合は、パノラマビューアーの仕様に見合った投影方法を選択しなければなりません。それに関してはまた次回に…。
- ブレンド
- [差]を選択するとぴったり重ね合わせることができない部分が明るく表示されます。真っ黒に表示されるほど重ね合わせの精度が高いことを表しています。HFOVの入力値が適切でなかったり、誤差が大きかったりすると別枠で示したようになります。またHFOVが正確な値であっても、レンズ特有の歪みによって、特に画像の四隅の重ね合わせが綺麗に処理されない場合があるようです。
パノラマ画像を作る方法4つの比較
パノラマ画像を作成する方法はグーグルやヤフーで検索するとたくさんヒットします。作成ソフトは国内よりも海外のほうが充実しているように感じます。国内でパッケージソフトとして販売されているパノラマ写真作成ソフトの多くも海外のものだったりします。仕事やパノラマが主な趣味でなければ、大枚を叩いて機材やソフトウェアを揃えることはないですよね。でも手持ちの普通のデジカメとフリーソフトでも充分パノラマ画像を楽しめることをGIMPを例に上げて紹介しました。今回はGIMPを含めてパノラマ画像作成ソフト4種の作例を比較がてらご紹介します。
GIMP + Pandora で作成したパノラマ写真
GIMPのプラグインPandoraはレンズの歪曲を補正しないため一見素直な仕上がりになります。平面的な2Dパノラマの作成には適していると思います。また縦方向のスティッチは完全手動となるため、複数行×複数列の写真の合成には向いていません。作例や解説は「普通のデジカメ画像を合成してパノラマ写真を作る」や「360度パノラマ画像をFlashビューアーで表示させる」をご覧ください。
OLYMPUS Master で作成したパノラマ写真
オリンパスのデジカメに同梱されているユーティリティソフトOLYMPUS Masterにはパノラマ作成機能がついています。完全自動作成ですので簡単といえば簡単ですが、反面微調整が全くできないので、貼り合わせ部分に不満があっても直せません。接合部分のクオリティーは上出来とはいえませんが、まぁまぁ使えます。他のデジカメメーカー(キャノンなど)にもこういったバンドルソフトがありますが、最近は同梱されなくなっている傾向にあるようです。
http://olympus-imaging.jp/lineup/digicamera/soft/oly_master/
Pnorama Maker で作成したパノラマ写真
これはPnorama Maker3 で作成したものです。アマゾンで古いバージョンが1500円で出品されていたものをかなり以前に購入しました。完全自動で作成できますが微調整も可能で、古いバージョンとはいえきれいに仕上がります。「建築物を強調する方法」の画像はこれで合成したものです。現在はバージョン4になっており機能や品質も向上しているようです。ちなみに正規のお値段は9,240円です。
http://www.junglejapan.com/products/pho/pm4/index.php
Hugin で作成したパノラマ写真
HuginはGIMPと同様オープンソースのフリーのソフトウェアです。2007年11月現在でまだバージョン0.7ベータの段階です。動作不良を起こすことがしばしばあるようですが、市販ソフト並みのつながりの綺麗さには感動です。この作例はちょっといびつになっていますが、まったく微調整をしないまま出力したためです。微調整すればもう少しましになったかも。ちなみにGIMP+Pandora以外は自動合成のみで一切調整はしていません。
http://hugin.sourceforge.net/
Huginのインストール方法はこちら→「パノラマ写真ツールHuginのインストール」
流動的トリミングというちょっと変わったトリミング
『流動的トリミング』が適切な言葉かどうかは別として、構図の再構成も考慮にいれて画像の部分的変形を可能にしたGIMPのプラグインツールがあります。『ホームページを作る人のネタ帳』で紹介されていたLiquid rescaleがそれです。YouTubeの動画はプレゼン用のデモンストレーションで、実際のプラグイン操作ではリスケールのプロセスを目視したり、インタラクティブに変化させることはできませんが、Liquid rescaleのコンセプトは一目で理解できると思います。また、http://www.screencast-o-matic.com/watch/ci6DbhEIではチュートリアルの動画を見ることができます。
● Liquid Rescale の使用例
● Liquid Rescale の応用編!?
● Liquid Rescale のパラメータの設定方法について
※インストールに関しては「Liquid Rescale のインストール」を参考にしてください。
Liquid rescaleと似たような機能にIllustratorのエンベロープツールがあります。操作方法や元々の概念が全く違いますが、『GIMPにエンベロープツールのようなものがあれば助かるな』と思っていた方には朗報かと思います。Liquid rescaleは写真の部分的な伸張や縮小をコントロールして構図を変化させることができます。ただし定型の変形ツールとしての用途には不向きです。
この写真は富良野で撮影たものです。構図など考えずにテキトーに撮影してしまったために中途半端な写真(画像左側)になってしまいました。右側の男の子が邪魔でしたし、縦位置でトリミングすることを考えるとロールサイレージ(牧草を丸めたやつ)がもう少し中央に寄っていれば良かったと思います。
Liquid rescaleを使って右側の男の子を消したのが画像中央の写真です。*1そして右側は、ロールサイレージを右よりに移動(被写体とロールサイレージの間を縮小)させて縦位置のトリミングにした例です。被写体を大きく見せてかつ牧場であることが一目でわかるようにトリミングすることができました。いずれにしても、Illustratorのエンベロープツールで処理するとぱっと見でもはわかる歪みが気になりますが、Liquid rescaleの場合は非常に自然な感じに仕上がります。この程度のサイズなら、背景に目立つ人工物、とくに規則的な構造物の配列や斜めに走る直線部分がなければ、レタッチ処理したことを見破る人はまずいないでしょう。
蛇足ですが…元来の写真のトリミングという視点に立ってこの方法を考えると、フィルムカメラ&印画紙の時代には予想すらし得なかった未来の技術であるわけで。こんなことが自分ちのちゃぶ台の上の小さなパソコンで(しかもタダで)できてしまうのですから、私が小学生だった頃想い描いた未来の21世紀はちゃんと『未来』として存在しているんだと少しだけ実感することができます。
Liquid Rescale の使用例
ここでは指定した必要な部分のサイズを変えることなく、画像サイズを伸張してトリミングする方法と縮小してトリミングする方法を解説します。
被写体の大きさと画像のアスペクト比を変えずに写真のいらない部分だけを消す
まず、この写真では右側の男の子を省きたいので、[切り抜き&サイズ変更]ツール(画像を切り抜いたり大きさを変えたりする)で図のようにトリミングして[切り抜き]ボタンをクリックします。
Liquid rescaleを起動して、リスケール処理時に保護したい部分を設定します。[レイヤー]タブをクリックして表示されるメニューで、一番下の方にある[Liquid rescale ...]をクリックして、「GIMP Liquid rescale Plug−In」画面を表示させます。
「Feauture Preservarion mask」の[New]ボタンをクリックします。自動で「Preserve features」にチェックが入りますが、チェックされていないときはチェックを入れます。「レイヤー」ウィンドウに不透明度50の[背景 pres mask]レイヤーが新規作成されているのが確認できます。
[絵筆]ツール(絵筆で線を引く)などを使って、保護したい部分を図のように塗りつぶします。描画色はなんでも構いませんが、写真の色調をみて目立つ色で塗ると塗り残しや塗りすぎがないか良くわかります。また、きっちり塗る必要はありません、少しはみ出るくらいに塗るのが良いと思います。
保護マスクの塗りが終了したら、アスペクト比を元の状態に戻すために、横方向に伸張します。「Select new width and height」の[Width]に元の値である800を入力して、右側にある鎖マークが切れている状態であることを確認します。
あらかじめ「Output」タブの[Output on a new layer]にチェックをいれておくと、処理した画像が新しいレイヤーに作成されて元画像が残ります。[Output the seams]は処理した部分の境界線を新たにレイヤーを作成して残します。処理後の画像が予想通りの仕上がりでなかった場合、やり直す際のパラメータ設定の参考になります。一発で思い通りにいかないことも少なくないので、このタブ画面ではこの二つにチェックを入れておくと良いでしょう。これで[OK]ボタンをクリックします。
伸張処理後の画像です。ロールサイレージと少女の間と少女から右側の部分が引き伸ばされました。また「レイヤー」ウィンドウを見ると、処理後の画像[背景LqR]と処理継目の画像[背景 seam map]レイヤーが作成されているのがわかります。
処理前の画像と処理継目の画像を表示させてみると、どの部分を伸張させたかが良くわかります。無数に走る稲妻のような線は伸張(または縮小)する割合が大きいほど、その数と処理時間が増えます。
横位置の写真を縦位置で流動的トリミングをする
縦位置でトリミングするときは、ロールサイレージと少女、そして少女の右側が詰まりすぎないように、少女の右側の牧草地を保護領域として塗ります。
縦位置のアスペクト比を3:4にするために[Width]に450を入力します。
処理後の画像と処理継目を表示した画像です。非常に綺麗に縮小されています。選んだ写真の背景が牧草や森などの自然なものだったことも手伝って、修整の不自然さを全く感じさせません。縮小処理の継目は保護部分をうまく避けて、横方向の縮小率の大きい部分や小さい部分それぞれに偏りが生じないように縮小されるようです。しかも、周囲の色や明度が大きく違う特異点…たとえば緑の草原の中の白い花などを縮小(または伸張)ターゲットから外すように処理することで、ディテールが損なわれるのを回避し歪み感を軽減しているようです。これを出力したものが冒頭の作例写真の右画像となります。
Liquid Rescale の応用編!?
上の例では余計な要らない部分は切り取ってからLiquid rescaleで処理しましたが、応用偏ではデモンストレーション動画にあったようにLiquid rescaleの機能を使って画像中の人物を消してみました。設定は以下の通りです。
母娘をリスケール処理から保護したいので、[背景 pres mask]レイヤーに緑色で塗って「Feature preserve mask」の[Layer]に指定し、消したいターゲットは[背景 disc mask]レイヤーに赤色で塗って「Feature discard mask」の[Layer]に指定しています。アスペクト比を変えないように処理するために、幅と高さの縮小率を同じにします。「Select new width and height」の鎖アイコンをクリックしてつなげてから、単位を[パーセント]にしてこの場合は70を入力しました。また、それぞれの[Strength]にデフォルトの100だと弱いので1500を設定しています。
縮小処理の継目線を見ると最初に幅の縮小処理をしてから高さを縮小することがわかります。
参考のために[Strength]を100で出力した画像がこれです。消すターゲットの人物がジャコメッティの彫刻のようになっています。このようにFeauture discard maskのStrengthを小さくするほど消えずに残る部分が増えます。また保護マスクの強度も100に下げているので親子も部分的に縮小されて少し形が崩れています。これはこれで面白いですね。デコボコにゆがんだリフレクターに映った風景のようです。こうやって処理したギコギコとぎこちない画像をマチエールを表現できる絵画フィルター、たとえばパステルとか水彩などで処理すると、通常の写真を絵画フィルターで処理するよりももっと絵画的になるのでは。
http://liquidrescale.wikidot.com/en:examplesではこんな感じで遊んだ画像をいくつか見ることができます。
Liquid Rescaleのパラメータの設定方法について
簡単にパラメータ設定について解説します。基本的には保護(Preserve)か優先(放棄:Discard)領域のレイヤーに任意に塗りこみをして、WidthやHeightに値を設定し、場合によってはそれぞれのStrengthの値を調整する程度で、他はデフォルトのままでもそれなりに処理できます。
「Select new width and height」
- Width
- 幅を指定します
- Height
- 高さを指定します
- 鎖アイコン
- つながった状態で拡大または縮小時の比率を保ちます
- 単位プルダウンメニュー
- ピクセルやパーセント、その他いろいろ選択することができます
ちなみに[更新]ボタンはマスクレイヤーに変更を加えたときなどにクリックして、変更を読み込ませるためのものです。
Feature masks タブ (上画像参照)
「Feature preservation mask」
- Preserve feature
- 保護領域を有効にするかどうか。チェックすることで有効になり、リスケール処理から保護されます
- Newボタン
- 保護領域レイヤーを新規作成します
- Layer
- 保護領域のレイヤーを選択します
- Strength
- 保護領域の強度を設定します。デフォルト値は100です。0では保護領域が無視されます。数値が高いほど縮小または拡大時に強固に保護されます
「Feature discard mask」
- Discard features
- 優先領域を有効にするかどうか。チェックすることで有効になります。伸張または縮小処理時に優先して処理される領域です。*2
- Newボタン
- 優先領域レイヤーを新規作成します
- Layer
- 優先領域のレイヤーを選択します
- Strength
- 優先領域の強度を設定します。デフォルト値は100です。0では優先領域が無視されます。数値が高いほど縮小または拡大時に処理の集中度が高まります。
Output タブ
- Output on a new layer
- 処理した画像を新しいレイヤーに出力し、元画像を温存します。チェックしないと元画像が処理後の画像に変更されます
- Resize image canvas
- 縮小または拡大処理によって変更されたキャンバスサイズで画像を表示します。チェックしないと元画像のキャンバスサイズのままです。
- Resize preserve/discard layers
- 保護領域または優先領域を処理したサイズに変更します。チェックを入れないと元のままです。やり直すことを考慮する場合はチェック入れないほうが良いでしょう。追加処理したい場合はチェックを入れます。
- Output the seams
- 処理した履歴を継目線として保持します。右側の四角ボタンは左が処理開始位置、右が終了位置の色で、それぞれクリックしてカラーパレットを表示させて任意に色を変更できます。
Advanced タブ
- Seams rigidity
- 処理継目の硬度を設定します。数値を上げるほど直線に近づきます。写真などをレタッチする場合は0のままで良いでしょう。
- Gradient function
- [Transversal absolute value][Sum of absolute balues][Norm][Null]の4つ選択することができます。前者3つは処理継目の傾斜アルゴリズムの種類で、[Null]は処理アルゴリズムが無視されるので通常は使いません。他のプラグインで使用するのための設定のようです。
各設定での処理の違いを実際に画像を使って比較してみました。子どもを保護領域(Feature preservation mask)に設定してサイズを半分にまで縮小した例です。左からそれぞれ[Transversal absolute value][Sum of absolute values][Norm]で処理した画像です。Transversal absolute valueが最も継目が目立ちません。Sum of absolute values からNormになるに従って背景の山の稜線や牧場の柵に段差が目立ってきます。また微妙にロールサイレージの形や子どもの位置が違います。
Liquid Rescale のインストール
関連記事:作例INDEX フリーグラフィックソフトで画像修正&作画にチャレンジ
Liquid RescaleはGIMP2.2以降のバージョンで動作します。
Liquid Rescaleの使い方は「流動的トリミングというちょっと変わったトリミング」をご覧ください。
ダウンロード
Liquid Rescaleはhttp://liquidrescale.wikidot.com/en:download-pageからダウンロードします。図のようにhereのリンク部分で右クリックして表示されるメニューで[対象をファイルに保存]をクリックして、適当な場所にダウンロードします。ダウンロードしたファイルはgimp-lqr-plugin-0.3.0_win32.7zという見慣れな拡張子です。.7zを扱えるアーカイバで解凍します。
解凍ソフトのインストール
手持ちのアーカイバが7zに対応していなければhttp://www.7-zip.org/ja/からダウンロードしてインストールしてください。
使い方は、エクスプローラ風ウィンドウでダウンロードした場所(フォルダ)を開いてgimp-lqr-plugin-0.3.0_win32.7zを選択して[解凍]ボタンをクリックします。フォルダ名をダブルクリックすると解凍せずに中身を見ることができます。詳しい使用方法に関してはhttp://www.7-zip.org/ja/かソフトのヘルプを参考にしてください。
他にもいくつかのアーカイバが7zに対応しているようです。図はNoahです。たくさんの圧縮形式に対応していて便利に使えそうです。但し開発は止まっていて新しい機能の追加等は今後ないようです。http://www.vector.co.jp/soft/win95/util/se106079.htmlでダウンロードできます。
インストール
解凍するとディレクトリ構成は図のようになっています。プラグインの実行ファイル(gimp-lqr-plugin.exe)はgimp-lqr-plugin-0.3.0_win32\lib\gimp\2.0\plug-insの中にあります。これをコピー(または切り取って)所定のフォルダーに貼り付けます。
多くの場合は C:\Documents and Settings\ユーザー名\.gimp-2.2\plug-ins か、GIMP2.4の場合はC:\Documents and Settings\ユーザー名\.gimp-2.4\plug-insです。
またはC:\Program Files\GIMP-2.0\lib\gimp\2.0\plug-insでもOKです。
プラグイン実行ファイルgimp-lqr-plugin.exeを貼り付け後GIMPを起動して、[レイヤー]タブのメニューの一番下の方に[Liquid rescale...]とあればOKです。
ヘルプについて
同梱されているヘルプファイルはフォルダごとC:\Program Files\GIMP-2.4\shareに貼り付けても認識しないようです。どのようにインストールするのかわかりません。しかし、Liquid Rescaleのヘルプ自体ボリュームが少ない(htmlファイルひとつだけ)ので、参考にしたい方は直接share\gimp-lqr-plugin\help\enの中のindex.htmlをダブルクリックしてブラウザで見たほうが手っ取り早そうです。パラメータの設定などに関しては、「流動的トリミングというちょっと変わったトリミング」でも解説しています。
360度パノラマ画像をFlashビューアーで表示させる
Pandoraで作ったパノラマ画像をFlashのビュワーを使ってウェブで公開する方法をご紹介します。パノラマ写真は撮影範囲が広くなるほど横長になってしまい、それを見るパソコンのモニター画面によっては原寸表示時にすべて表示しきれない場合もあります。ビューワーを使えばデジカメ画像のアスペクト比に近いサイズで、マウス操作で左右を(上下も)移動させてグルリと見回すことができます。
※Pandoraの使い方は、「普通のデジカメ画像を合成してパノラマ写真を作る」をご覧ください。
パノラマビューアーといえばQTVRパノラマが最もポピュラーではないでしょうか。検索するとその作成ノウハウがたくさんヒットします。しかし残念ながら作成用ソフトはMACでしか使えませんでした。また現在も作成ソフトが配布されているのかは不明です。
Ryubin's Flash Panorama Laboratory のパノラマビューアーは、swf(Flash)ファイルと画像をアップロードして、HTMLでパラメータを設定すれば簡単にウェブ上で公開できる優れものです。自分で用意するものは画像のみ。パノラマ用画像を作成できれば新たにソフトをインストールする必要はありません。様々な画像形態に対応したFlashビューアーで、簡単に3Dパノラマや2Dパノラマが楽しめます。勿論フリー(無料)ですし、WinodowsだろうとMacだろうとOSを問いません。
さらに凄いところは動画も使えるという点です。パノラマビューアーは普通の一枚の静止画像に比較して臨場感が格段にアップします。そこに動画が使えることによって生まれる可能性はまだまだ未知数で、今後どんな作品が生まれてくるのか楽しみです。
GIMPプラグインPandoraで360度パノラマ画像を作成する
「普通のデジカメ画像を合成してパノラマ写真を作る」で紹介したPandoraで作成したパノラマ画像の例は、360度カバーする写真ではありませんでした。360度をカバーするには少しだけ手間をかける必要があります。
Pandoraは左右の両端の画像を滑らかにつなげる機能はありません。そのままで360度のパノラマビューアーにセットするとその箇所の接続部分に不自然さがでてしまいます。左右両端の画像をグラデーション透過させて滑らかにつながるように加工します。
シームレスな360度パノラマ画像を作る方法
ここでは、すでにPandoraによるパノラマ画像の合成が済んでいるものとして、左右の両端をなめらかにつなげる方法を解説します。Pandoraの使い方やインストール方法は「普通のデジカメ画像を合成してパノラマ写真を作る」を参考にしてください。
[矩形選択]ツール(矩形領域を選択する)で左端に位置する画像の一部分を図のように領域選択します。
領域選択した部分をコピーして貼り付けて、図のように[移動]ツール(レイヤーや選択領域の移動)を使って右端に移動させます。
レイヤーの使い方に関しては「レイヤーの基本操作について」を参考にしてください。
- [貼り付けられたレイヤー]を右クリックしてレイヤーマスクを追加します。
- [ブレンド]ツール(グラデーションを用いて塗りつぶす)をクリックして、
- グラデーションリストで黒→白(またはその逆)のグラデーションを選択します。
- 貼り付けた画像の左端から右に向けてマスクにグラデーションを塗ると図のようになります。
[移動]ツール(レイヤーや選択領域の移動)をクリックして、透明グラデーション処理をした画像をきれいにつながる位置に移動させます。
撮影された写真は、しっかりした3脚を使用していない限り、小さな角度で傾いている場合が殆どです。左端と右端の画像がきっちりつなぎ合わさるように角度を調整します。[回転]ツール(レイヤーや選択領域を回転する)をクリックして、画像上でドラッグして傾きをびちょうせいします。左右端の画像中に目印になる部分を決めて、引き出したガイドの線の上に並ぶように調整します。大変微妙な調整になることもありますが根気強くきっちり調整ればつなぎ目が目立ちません。
左右端のつながる部分、たとえばこの場合は砂浜の石とか森の樹木を目印にして、その場所にガイドを引き出しておきます(赤枠部分)。上下にも余白が画面に入らないように図のようにガイドを設定します。100%以上の表示倍率にしてなるべく正確におこないます。
[切り抜き&サイズ変更]ツール(画像を切り抜いたり大きさを変えたりする)をクリックして、その範囲を斜めにドラッグして切り抜き範囲を設定します。[表示]タブをクリックして表示される[ガイドにスナップ]にチェックを入れておくと、範囲指定がやり易くなります。「切り抜き&サイズ変更」画面では後の修正のことを考えて[サイズ変更]ボタンをクリックします。後に修整が生じないようであれば[切り抜き]ボタンのクリックでもOKです。
パノラマビューアーの設置
Flashのswfファイルはhttp://ryubin.com/PanoGallery/download.htmlからダウンロードします。使うファイルはPanoFlatFlash_v10.swfです。魚眼レンズや特殊な全天撮影用機材を使うと、同梱されている他のFlashビューアーで3Dパノラマを楽しめますが、ベタにカメラの角度を変えて360度撮影してからPandoraで合成させた画像の場合はPanoFlatFlash_v10.swfが最も適していると思います。設定その他は同サイトを参考にしてください。ここでは簡単な説明にとどめています。
主な設定項目は
- img_path:画像ファイルのパス
- fov:視野角度
- hv_ratio:縦横比(横÷縦で算出される数値)
で充分だと思います。作例のように自動で動かす場合は
- start:自動パン機能を有効にする場合は yes を設定する
- auto:横方向の移動速度を角度で指定する。-(マイナス)を指定すると左から右へ画像が移動します
を設定します
ちなみに、この作例の設定は…
PanoFlatFlash_v10.swf?img_path=360panoC.jpg&fov=40&hv_ratio=9.52&start=yes&auto=0.1
となっています。
詳細な設定や設置方法に関してはhttp://ryubin.com/PanoGallery/faq.htmlをご覧ください。
この作例の画像はカメラを横位置で撮影したものでアスペクト比がかなり大きくなってしまい、上下に隙間ができています。360度撮影するときは最大広角域で、カメラを縦位置にして撮影した画像だと、空や近景がたくさん写ってもう少しはダイナミックなパノラマになったと思います。ちなみにこの写真を撮影したデジカメは35〜105ミリズームのコンパクトデジカメです。28ミリやそれ以下の広角で撮影した写真だともっといい感じになりそうです。またこの作例ではPandoraの[Overlap]の設定値を大きくしてしまったために、一部の繋ぎ目で白い線が入ってしまいました。