普通のデジカメ画像を合成してパノラマ写真を作る


360度パノラマ画像を作るときはこちらもご覧ください→「360度パノラマ画像をFlashビューアーで表示させる
神威岬のパノラマ画像
 この写真は北海道の積丹半島神威岬(かむいみさき)で撮影した3つの写真を合成したものです。普通のコンパクトデジカメではその雄大な風景を一枚の画面に納めることはできません。広角側に弱いといわれてきたコンパクトデジカメも、最近では28ミリまでカバーする機種が増えてきました。とはいえ、それでもこの岬は半分も画面に入れることはできません。

 ここで紹介するPandoraというプラグインスクリプトは、海外の女性のプログラマー&ライターであるAkkana Peckさんが作成されたもので、「Beginning GIMP: From Novice to Professional」というGIMPに関する著書も執筆されています。なので、私がここで彼女のプラグインの紹介記事を書くにはちょっとおこがましく恐縮至極の心境ではあります。
彼女は多彩で活動的な趣味をお持ちの方で、そのアクティビティの高さには脱帽です。アウトドア派の彼女がパノラマプラグインを作った理由は、彼女が撮った自然をテーマにしたすばらしい写真を見れば、その必要性を誰もが感じることでしょう。→ The Shallow Sky
Pndoraは複数枚の写真をつなぎ合わせて一枚の写真にすることで、広角レンズで撮影したような画像やパノラマ写真を作成することができます。市販されているパノラマ作成ソフトと比べると、自動つなぎ合わせ機能がないので自分で微調整しなければなりません。しかし、オート機能で樽型に変形補正されることがないので、つなぎ合わせが水平方向だけに限られる場合は、変形補正によって生じる余白部分やケラレのトリミングによる視野角の目減りを回避できます。補正しないぶん継目に多少のズレが生じることはあります。

※カメラ自身で画像をつなぎ合わせてパノラマ画像を作ってくれるデジカメもあります→オリンパスμ1200の記事

写真の準備

 パノラマ画像を作るには、複数の写真をそれぞれ少しずつダブらせて角度を変えて撮影する必要があります。撮影の際は、フォーカスロックやAEロックする必要があります。デジカメの機種によってはパノラマ撮影モードがありますのでそれを使って撮影してください。ダブらせる割合はどの画像もなるべく同じ程度になるようにしてください。

プラグインのダウンロードとインストール

Pandoraプラグインのダウンロード プラグインPandora: a GIMP Plugin for Making Panoramasからダウンロードします。pandora-conbine-0.9.3.scmと書かれた部分で右クリックして表示されるメニューで[対象をファイルに保存]をクリックして、適当な場所にダウンロードしてください。
上記サイトにアクセスできない場合はこちらhttp://registry.gimp.org/plugin?id=2859からver0.9がダウンロードできます。

Pandoraプラグインのインストール この場合はデスクトップにダウンロードした例です。ごらんのようにファイル名の末尾に「.txt」が付いているのでこれを取ります。このファイルをC:\Documents and Settings\ユーザ名\.gimp-2.2\scriptsにコピーします。コピーしたらGIMPを起動して画像を開くか、新規作成したウィンドウで、[フィルター]タブをクリックして表示されるメニューで、[合成]のメニューの中に[Arrange of Panorama...]があればインストールされています。

Pandoraでパノラマ写真を作成する

画像を用意する 撮影した写真は図のように、一枚目の左側(または右側)になる画像をドラッグアンドドロップして開いた画面に、残りの画像を順番にドラッグアンドドロップします。

レイヤー構成と順番 図のようなレイヤー構成となりますが、このときドラッグアンドドロップを順番通りにしなかった場合は、レイヤーウィンドウで順番を入れ替えてください。

Pandoraの設定 [フィルター]タブをクリックして表示されるメニューで、[合成]の[Arrange of Panorama...]をクリックして「Arrange of Panorama」画面で設定をおこないます。

  • [Overlap(percent)]:撮影したときにダブらせた割合を入力します。よくわからない場合は10くらいを入力しておけばよいと思います。数値が大きいほど接続部分のぼかし幅が広くなるので違和感を少なくすることができます。特に周辺光量の落ち込みが激しいレンズを使ったカメラの場合はなるべく重なり幅を大きめに撮影して、Overlapを大きめに設定できるようにしておくとよいでしょう。重なり部分が少ないにもかかわらず大きめの数値を設定すると、画像に濃淡の段差が生じてしまうので注意してください。
  • [Top Layer on Right]:左側画像から順番にドラッグアンドドロップした場合はチェックを入れておきます。右側画像からそうした場合はチェックを入れません。
  • [Use Layer Masks]:レイヤーマスクを使ってダブらせる部分をグラデーションで透過させます。チェックをいれないとつなぎ目がはっきりしてしまいます。通常はチェックを入れておきます。

設定が済んだら[OK]ボタンをクリックします。

レイヤーの位置調整 パノラマ処理が終わると右図のようになります。自動でつなぎ目をきれいにする機能はありませんので、それぞれのレイヤーを移動させて接続部分がきれいになるように整えます。

不透明度を下げて重なり具合を調整する 移動させるレイヤーの[不透明度]を下げると、両方の画像の重なり具合を見ながら位置調整ができます。移動するには、[移動]ツール(レイヤーや選択領域の移動)をクリックして、対象の画像をドラッグして移動させます。

バランスよくつなぎ合わせる 手持ちで撮影した写真だと、微妙に傾いて撮影されてしまうことがあります。その場合はきれいにつながりませんので、ツールボックスに赤枠で示した[回転]ツール(レイヤーや選択領域を回転する)をクリックして、角度調整すると重なりの部分の不自然さを減らすことができます。ただしレンズの歪みなどがあってどうしてもうまく繋がらないこともありますので多少の妥協は必要です。また一箇所のつなぎ目ばかりに気をとられず全体的なバランスを見ながら調整することをお勧めします。

繋ぎあわせた画像のトリミングは「複数レイヤーで構成された画像のトリミング」を参考にしてください。

パノラマ作成ツールの比較ページもあります。GIMPのほかに気軽に利用できるソフト3種類のご紹介はこちら→パノラマ画像を作る方法4つの比較