GIMPで風景写真の季節を変える


新緑の風景を紅葉と雪景色にフォトレタッチした例 前回の「『あの緑を再現したい』記憶の中の景色を取り戻す」で使用した初夏の神社の参道を、GIMPを使って季節をがらりと変えてみます。今回はサラっと簡単に!

新緑の風景写真を紅葉の風景に修整する

 なんとも無茶なことと思われるかもしれませんが、不動産関係や建築関係のプレゼンテーションや広告では季節感を強調したり、見本写真のバリエーションを増やすために使っているのではないでしょうか(私は使っていました)

緑色を選択して色相を変える 『あの緑を再現したい』記憶の中の景色を取り戻す」で使ったファイルのまま解説します。まず彩度を高めたレイヤー[背景コピー]を選択状態にして、[道具]タブをクリックして表示されるメニューで[色ツール]の[色相−再度]をクリックします。表示された[色相−彩度]ウィンドウの「調整する基準色を選択」で[G](緑)を選択します。

明度と彩度を調整して紅葉の派手さをだす 「選択した色を調整」の[色相]で先ほど選択した[G]の色の窓を見ながら黄色になるように調整します。次に[明度]をスライドさせて、この場合はすこし明るく修整します。[彩度]では鮮やかさを設定します。[プレビュー]にチェックを入れておくことによってリアルタイムに色の変化を確認できます。赤系の紅葉にしたい場合なら色相を赤に変化させます。単一色で良いのであればこれで終了です。それなりに紅葉の参道に修整することができました。小さなサイズで表示させるなら、誰もフォトレタッチで紅葉を作り出したとは思わないかもしれません。

一部の葉の色を赤くするための領域選択 黄色だけだと寂しいので赤も少し入れてみましょう。[あいまい選択]ツール(隣接(色)領域の選択)をクリックして、オプションメニューで図の様に設定します。[しきい値]は木の葉以外を選択しないよう、且つあまり広範囲に選択し過ぎないようにやや小さ目の数値を設定します。赤にしたい部分をクリックして領域選択します。[Shift]キーを押しながらクリックして、少しずつ選択領域を増やしていくやり方のほうが、自分の気に入った形や大きさに領域選択することができます。
[あいまい選択]ツールでの領域選択については「GIMPで画像を切り抜く(その1)」や「GIMPで画像を切り抜く(その2)」で解説していますので参考にしてください。

選択領域を赤く修整する 選択した領域を先ほどのように[色相−彩度]ツールで赤く修整します。同様に何箇所か離れた木をちょっと色みを変えて赤くしたあと、残った部分を黄色にすればページ冒頭の見本画像のような紅葉の参道が出来上がります。

新緑の風景を雪景色に変える

黄色と緑色の彩度をゼロにして明度を最大限に上げる 次は雪景色を作ってみましょう。雪用のレイヤー([雪]レイヤー)を[背景コピー]を複製して作ります。[雪]レイヤーを選択状態にして、[色相−彩度]ツールで「調整する基準色を選択」の[G]と[Y]の両方を[明度]:100、[彩度]:−100で処理します。
雪景色というよりノイズの多い画像のようになってしまいました。

リアリティを出す

消しゴムツールを使ってリアリティをだす 少し修正を入れて、画面にリアリティを持たせます。

  1. [雪]レイヤーを選択状態にして、
  2. [消しゴム]ツールをクリックします。
  3. ブラシアイコンをクリックして「ブラシ」ウィンドウでブラシを新規作成するか、適当なブラシを選択して[ブラシの編集]ボタンンをクリックして[ブラシエディタ]を表示させます。
  4. [半径][強度][間隔]を調整して、図の様に参道や周囲の木の余計な白い部分を消していきます。適宜ブラシの設定を変えたり、または[消しゴム]ツールのオプションメニューにある[不透明度]を調節しながら自然な感じになるように所々消すと良いでしょう。幹の部分をはっきり出すようにすると雪景色らしくなります。

消した部分の彩度を落として出来上がり 下のレイヤーの緑が鮮やか過ぎるので彩度を落とします。[背景コピー]レイヤーを選択状態にして、[色相−彩度]ツールで[G](緑)の彩度を下げます。この場合は−100まで下げてみました。大体自然な感じに仕上がったと思います。雪景色というより霧氷といった感じですね。

 少々雑に作業してもこの程度までできるので、面白そうな素材があったら是非気軽にお試しください。見たこともないような風景写真が作れるかもしれませんよ。